「できることは意外とある」世界的な食糧危機に、日本ができる役割とは

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「New global」のコーナーでは、世界の食料安全保障と日本の役割について取り上げました。

◆目の前にある食糧危機…飢餓に直面している人が増加

先般、ロシアがウクライナ産の穀物輸出に関する合意を停止し、世界的な食糧危機が危ぶまれていますが、食糧にまつわる問題はそれだけではありません。FAO(国際連合食糧農業機関)、IFAD(国際農業開発基金)、UNICEF(国連児童基金)、WHO(世界保健機関)、WFP(国際連合世界食糧計画)が7月12日に合同で発表した報告書「世界の食料安全保障と栄養の現状」によると、飢餓に直面している人口が増加しています。

その背景には、気候変動による環境の悪化や戦争・紛争などさまざまな要因が考えられますが、2022年は飢餓に直面している人口が約7億3,500万人と2019年に比べ、約1億2,200万人増。さらには、世界人口の約3割となる約24億人が食糧不安に陥っており、SDGsのゴールのひとつに「飢餓をゼロに」とありますが、2030年までには達成できないと国連は警告しています。

こうした状況に、Fridays For Future Tokyoオーガナイザーの黒部睦さんは、「気候変動の影響というか、負の連鎖が現実のものになっている。もともと(食糧危機は)起こっていたと思うが、すごく大きな、国際的な問題となっているのを痛感した」と率直な感想を語ります。

キャスターの堀潤は、気候変動により食糧生産地が少なくなれば、食料が生産できる場所の価値は相対的に高まると話し、そうなるとそこを巡って武装勢力が活動を活発化。土地の奪い合い、食糧の奪い合いが起きることは必至で、「今回のロシアのように、食糧を(政治交渉の)カードとして使うこともある」と案じます。

ライターのヨッピーさんからは「できることは意外とある」との声が。というのも、最近は国連の難民支援機関や国境なき医師団、赤十字などが簡単に寄付できるようしているから。

ヨッピーさんは以前、国境なき医師団した際にクレジットカードで毎月簡単に少額から寄付できること、さらにその後もパンフレットなどで定期的に活動報告をしてくれることを知ったそうで、「すごくわかりやすくていいので、ぜひみなさんにもやってほしい」と視聴者に訴えます。

◆世界が安定しないと日本の国民の暮らしも安定化しない!?

また、子どもたちの栄養不良も非常に深刻な状況にあります。2022年の段階で、5歳以下の子どもの「発育阻害」は1億4,800万人。免疫力がひどく低下してしまう「消耗症」は4,500万人。飢餓貧困にも関わらず逆に体重が増える「体重過多」は3,700万人。そして、生後6ヵ月未満の乳児の完全母乳率は48%。WHOの2025年目標に近づいているものの、2030年までに栄養不良を解決するには努力が必要という状況です。

こうしたなか、日本は現在、最大のWFP寄付国となっています。今年1月にも食糧危機で苦しむ人々の支援に1億3,000万ドル(日本円で約180億円)を拠出。WFPを通じ、ウクライナやシリア、ミャンマー、南スーダン、イラクなど37ヵ国の支援に充てられています。

この現状に、国内では「日本も大変なのに、なぜ海外に支援するのか」という声があることに対し、堀は「世界が安定しないと私たちの暮らしも安定化しない。そうした因果関係にあることもぜひ伝えたい」と主張します。

経済アナリストの池田健三郎さんは、「今、飢えている人に支援をするが、その先もいかに生産性を上げ、地球全体の農業生産を高めることに向け、先進国がより積極的にリーダーシップをとっていかないといけない」と指摘していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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