【SNS特報班】福岡 西日本新聞プラン 大雨被災地盛り上げて

 宮崎日日新聞、西日本新聞、熊本日日新聞、南日本新聞の4紙が実施した「旅」についての合同アンケートでは、各県の読者に「県外の人は知らない穴場のおすすめ観光スポット」を尋ねた。寄せられた回答から、各紙の記者が作成した「とっておき九州旅」を紹介する。

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 アンケートでは、福岡県の読者から県南部のスポットが多く寄せられた。10日の記録的大雨で被害の爪痕も残る地域。今だからこそ訪ねて応援したい-。家族向けの1泊2日のプランを作った。

 1日目、車で福岡市を出発して目指すのは小郡市の清影山如意輪寺(せいえいざんにょいりんじ)。「かえる寺」の愛称があり、由来は境内に約1万体並ぶカエルのオブジェ。口からシャボン玉を出す大きな置物がユニークだ。9月末までは「風鈴まつり」で、涼しい音色も楽しめる。
 続いて朝倉市の「だんごあん」へ。1887(明治20)年創業の食事処は野鳥(のとり)川の清流に桟敷(さじき)席が設けられ、ヤマメやブランド鶏を使った焼き物を満喫できる。5代目オーナーの松木嶺旺(れお)さん(23)は「昨年SNS(交流サイト)を始め、今は全国からお客さんが来ている」。食後、上流で水遊びを楽しむ人も多い。
 1日目の最後は同市の原鶴温泉。旅館「六峰館」で、筑後川の水面を眺めながら、「美肌の湯」として人気の温泉につかる。今は穏やかな流れに戻ったが、温泉街の夏の風物詩、鵜(う)飼いは大雨の影響で7月いっぱいは中止。被災し臨時休業中の旅館もある。「こういう時だからこそ、みんなで盛り上げたい」。渡辺昌之総支配人は力を込めた。
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JR上山田線の廃線路は「写真映え」ばっちり=福岡県嘉麻市

 2日目は朝倉市のお隣、うきは市の「浮羽稲荷神社」から。山肌に並んだ約100基の鳥居。緑と朱色のコントラストが鮮やかだ。
 続いて、ごま焼酎で知られる久留米市田主丸町の紅乙女酒造「耳納蒸留所」へ。今回の大雨で土石流や河川の氾濫など最も大きな被害に遭った耳納山地の麓。蒸留所の敷地内にも土砂が流入し、従業員は撤去作業などに追われた。
 事前予約すれば施設内を見学できる。ステンドグラスがあしらわれた貯蔵庫に入ると、焼酎の香りがふんわり。ゲストハウスで試飲もできるが、記者は残念ながら運転中。同ハウスでごま焼酎を購入した。
 隣接する食事処「水縄茶寮(みのうさりょう)」では昼食も取れる。施設を案内してくれた同社の山崎稔営業部長(56)は「田主丸は大雨で大きな被害が出たが、ぜひ町を訪れてもらい、地域の良さを知ってもらいたい」と話した。
 最後はちょっと足を延ばして嘉麻市へ。同市熊ケ畑の「手づくりふるさと村」の裏手に、1988年に廃線になったJR上山田線の線路が残る。歩いても大丈夫で、鉄道が好きな子どもは大はしゃぎしそう。記念撮影をしたら、新鮮な地元野菜を購入し、帰路へ。
 思い切り楽しみながら地域を応援。こんな小旅行、いかがでしょうか。
 (西日本新聞社提供)

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