【SNS特報班】宮崎 宮崎日日新聞プラン 現代に息づく神話舞台

 宮崎日日新聞、西日本新聞、熊本日日新聞、南日本新聞の4紙が実施した「旅」についての合同アンケートでは、各県の読者に「県外の人は知らない穴場のおすすめ観光スポット」を尋ねた。寄せられた回答から、各紙の記者が作成した「とっておき九州旅」を紹介する。

 宮崎は豊かな自然に恵まれ、神話や伝説が息づく「神話のふるさと」でもある。アンケートでも、神話ゆかりのスポットの情報が複数寄せられた。初代天皇の神武天皇が大和を目指したとされる「神武東征」の出発の地・日向市を起点に、古代と現代が交錯するルートをたどる。
 「穏やかな波の音、夜勤明けに眺める日の出に癒やされる」。日向市の会社員工藤和洋さん(43)の情報を基に伊勢ケ浜へ。柱状節理の岬に囲まれ、南北約300メートルの砂浜が広がる。夏休みは海水浴場となり、家族連れでにぎわうという。
 工藤さんは近くの大御神社に君が代の歌詞に出てくる「さざれ石」があることを教えてくれた。大きさは国内最大級。2015、19年には、ラグビーワールドカップを前に、日本代表チームが必勝祈願に訪れたことで有名になった。
 東九州自動車道を南進して、次の目的地である西都市・西都原古墳群に足を延ばす。俳優の星野源さんらが出演した発泡酒のCMの舞台になり、一時ファンの間で話題になった。
 西都原ガイダンスセンター「このはな館」で、うなぎのかば焼き入り弁当(1660円)を見つけた。市内の人気店「入船」の特製。行列に並ばずに創業120年超の老舗の味を楽しめ、得した気分になった。
 山際に沈む夕日を追いかけて、宿泊地の高原町・御池キャンプ村のコテージに到着した。周辺には複数の温泉があり、旅の疲れを癒やすことができる。

 2日目はキャンプ村近くの火口湖・御池で情報提供者の同町職員、中武利仁さん(45)と合流した。3年前から始まったスタンドアップパドルボード(SUP)体験(30分千円)が一押し。天孫降臨の地・高千穂峰を眺めながら湖面を進み、「自然と一体になり非日常を味わえる。心がすっきり整う」と語った。

火口湖の御池。高千穂峰を眺めながらSUPを体験できる=高原町(ドローン撮影)

 都城市・50代女性の「鬼が一夜で積み上げた石階段を振り返らずに上りきると、願いがかなうとされる」という投稿が気になった。同市高崎町の東霧島神社を旅の終着点に決めた。
 境内には主祭神のイザナギノミコトが剣で切ったとされ、人気漫画「鬼滅の刃」に登場する巨石に似ていると話題になった「神石」もある。木漏れ日が落ち、幻想的な雰囲気の中、石階段を踏みしめながら上ると、心地よい疲労感とともに心が軽くなった。

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