【SNS特報班】鹿児島 南日本新聞プラン 太古に思いはせ癒やし

 宮崎日日新聞、西日本新聞、熊本日日新聞、南日本新聞の4紙が実施した「旅」についての合同アンケートでは、各県の読者に「県外の人は知らない穴場のおすすめ観光スポット」を尋ねた。寄せられた回答から、各紙の記者が作成した「とっておき九州旅」を紹介する。

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 南日本新聞など九州4紙による旅をテーマにしたアンケート。鹿児島県民の「おすすめの穴場」情報を基に「太古と戯れ離島に癒やされる旅」を企画。1泊2日の弾丸で体験してきた。

 まずは霧島神宮(霧島市)近くの霧島神水峡へ。「地球の歴史を体感できる」(同市・50歳女性教員)という。霧島川沿いに1・8キロの遊歩道があり、水音が響く中で森林浴を楽しめる。猛暑日となったが、一帯は涼しかった。展望台では溶岩が冷えて固まった柱状節理が望める。788年、高千穂峰西側の御鉢噴火で流れてきた。貫禄が漂う。
 日置市の会社員男性(59)が「今年1番のパワースポット」と勧める同市の大汝牟遅(おおなむち)神社へ。ニニギノミコトが霧島降臨後、宮居したと伝えられる。存在感を放つのが、本殿横の大楠(くす)「願掛け御神木」だ。樹齢千年以上、幹回り14メートル。風に吹かれる姿が神々しい。「霊感の強い人が好んで訪れる」とは宮司の國生護矢さん(75)。参道脇にある「千本楠」も雰囲気がある。数々のドラマやCMの撮影地にもなった。
 次は、米大リーグ大谷翔平選手で話題のかぶとを製造した薩摩川内市の丸武産業の工房。かぶとと同社がチームに寄贈した甲冑(かっちゅう)の同型が展示され、撮影もできる。
 鹿児島の離島と言えば、世界遺産の屋久島や奄美大島が有名だが、薩摩川内市の甑島も魅力的だ。タカエビやイシダイなど地魚が絶品で、3年前に完成した甑大橋など絶景ポイントもある。いちき串木野市発のフェリーに車ごと乗船、里港へ向かった。
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 島の民宿に泊まり、2日目。観光クルーズで、海からしか見えない断崖絶壁などを1時間かけて巡る。
 しけで東海岸コースとなったが、個性的な形の巨岩群を間近で見ると迫力満点。全長1533メートルの海に浮かぶ甑大橋は県内最長の道路橋で、真横から見渡すと長さが際立つ。澄んだ海の潮風も心地よかった。

甑大橋(奥)や断崖絶壁などの眺望が楽しめるクルーズ=鹿児島県薩摩川内市・甑島沖

 甑大橋を見下ろせる「鳥ノ巣山展望所」の斜面には、見頃のカノコユリが咲いていた。緑の大地にピンクの花、青い空と海…美しさに見とれた。展望所下の「甑ミュージアム恐竜化石等準備室」では、島で見つかった骨や、サウロロフスなど6種類の全身骨格などを見学。太古に思いをはせた。
 本土へ戻ると一気に現実へ戻った気分となり、いちき串木野市の山手にある冠岳温泉でリフレッシュ。駆け足で巡ったが、どこも「推す声」に納得した。
 (南日本新聞社提供)

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