ゴーサマ 境内駆け五穀豊穣祈る 美咲・両山寺で奇祭「護法祭」

たいまつを跳び越えながら境内を走り回るゴーサマ

 神が人に乗り移った「護法実(ごほうざね、ゴーサマ)」が“お遊び”として境内を駆け回る奇祭・護法祭(岡山県重要無形民俗文化財)が、14日夜から15日未明にかけて同県美咲町両山寺の二上山両山寺で行われ、五穀豊穣(ほうじょう)や天下太平などを祈った。

 山岳仏教の祈祷(きとう)の一種で1275(建治元)年に始まったと伝わる。二上山の守り神が年に1回地上に降りて走り回り、邪魔をして捕まれば災いが降りかかるとされる。ゴーサマは9年連続で津山市出身の会社経営白川晃太郎さん(50)=大阪市=が務め、1週間前から水ごりなどの修行に励んできた。

 15日午前0時半ごろ、半紙でできた「紙手(しで)」をかぶったゴーサマが儀式をしていた本堂から飛び出した。真っ暗な境内をたいまつがぼんやりと照らし、「ギャーテー、ギャーテー」の声が周囲からかかる中、約30分間走り続けた。

 家族4人で訪れた美咲中央小5年女子(10)は「少し怖かったけど、走りながら跳びはねる様子が楽しそうで親しみも感じた」と話していた。

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