「間違いなくこのままだったら絶対に絶対に事故が起きる」殉職消防士の元同僚が抱える“疑問” 静岡ビル火災から1年

静岡市のビル火災で活動中の消防士が亡くなった事故から8月13日で1年が経ちました。殉職した消防士と一緒に消火活動に当たった元消防隊員は、事故調査委員会の検証結果について疑問の声を上げています。

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「間違いなくいえるのは、僕らが行った行動に間違いがいまのところは僕は見当たらない」

確信をもって当時の状況を振り返るのは、1年前のビル火災の現場で殉職した隊員と同じ3人組のチームで活動していた元消防隊員です。

2022年8月、静岡市葵区呉服町のビルで発生した火災では、静岡市消防局の男性隊員(当時37歳)が消火活動中に死亡しました。

しかし、男性隊員と同じチームで消火活動を行っていた元消防士は、屋内への進入や退出の判断について間違いはなかったはずだと主張しています。

<男性隊員と一緒に進入した元消防隊員>
「(退出の際に)この距離で細かくうなずいているのを知っているんで、間違いなく意思統一ができたと感じた。最終的には何があったのかって、本当にそこはわからない。わからないですよね」

その上で、報告書では現場で行われた消火活動の検証が十分に行われていないと指摘しました。

事故調査委員会の報告書によりますと、男性隊員らの前に進入した隊は活動環境を整えるため、煙を外に出そうと火元の対角線上に位置する給湯室に入り、東側の窓を開けたとしています。

一方、元消防隊員はこの窓を開けたことで、火元の煙や火がさらに中央の通路に広がった可能性があると指摘、火元のすぐそばの呉服町通り側から排煙するべきだったと主張します。

<男性隊員と一緒に進入した元消防隊員>
「間違いなく進言はしているんですよ。ここ開けられないんですかって。ここを開けることは火災を助長させる行為の1つにつながる可能性は少なからず(ある)」

こうした意見に対し、静岡市消防局は排煙する場所は「給湯室側の窓」以外になかったと反論します。

<静岡市消防局 長井利規警防課長>
Qそこをそもそも空気を逃がすために、開けるという選択肢はなかった?
「なかった。南側のビルの関係者からこちらの建物の中に進入できるという情報を得たものですから、そちらを検索途中にこちらの扉があることを確認している。北東側の給湯室の窓以外に煙などを逃がす開口部はございません」

休みの日にも公園で筋トレをし、管内にある消火栓の位置を確認するなど消防に対して熱心に向き合った男性隊員。

<男性隊員と一緒に進入した元消防隊員>
「間違いなくこのままだったら絶対に絶対に事故が起きます。もうちょっと現場の声を聞いたほうがよいと思いますよ」

9か月かけて検証した「事故調査報告書」は、男性隊員に胸を張って報告できるものなのか。二度と同じような被害を繰り返さないために組織内でのコミュニケーションを増やし、組織の風通しをよくする必要がありそうです。

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