台風7号兵庫を縦断、25人重軽傷 13市町34万人に避難情報 県、被害相次いだ香美町に災害救助法を適用

矢田川の氾濫や山からの土砂流入で冠水した県道香住村岡線=15日午後5時24分、兵庫県香美町村岡区高津(撮影・長谷部崇)

 台風7号は15日、和歌山県に上陸した後、午後1時ごろに明石市付近に再上陸した。兵庫県内全域で暴風や大雨などの警報が発表され、香美町では川の氾濫や土砂崩れで県道が冠水。同町は町内全域に最高レベルの避難情報「緊急安全確保」を発表した。県内では最大で13市町約34万人に「避難指示」などの避難情報が出された。JRや私鉄各社の運休が拡大し、混乱が広がった。

 台風7号は兵庫県を縦断するように北上し、15日夜に但馬地方から日本海へと抜けた。神戸新聞社の調べでは、土砂崩れや倒木などが各地で発生し、風にあおられて転倒するなど少なくとも25人が重軽傷。

 県新温泉土木事務所によると、15日午後1時半ごろ、香美町村岡区高津を流れる矢田川があふれ、県道香住村岡線が水につかった。その後も複数箇所で冠水が発生し、同町香住区森-村岡区川会間の約20キロが通行止めとなった。

 香美町では、住宅への土砂流入や床上浸水などの被害も相次ぎ、県は災害救助法の適用を決めた。

 気象庁によると、15日夕までの24時間降水量は養父市八鹿町で277.0ミリ、香美町の兎和野高原で248.5ミリとなり、いずれも観測史上最大だった。また新温泉町と養父市大屋町、朝来市生野町の3地点の24時間降水量も8月の観測史上最大を記録した。神戸市中央区では午前7時ごろ、最大瞬間風速35.7メートルを記録し、8月の観測史上最高となった。

 避難指示は、神戸市北区▽豊岡市▽養父市▽丹波市▽朝来市-に発令。神戸新聞社の調べでは、15日午後5時時点で県内で避難している人は12市4町の517人。

 鉄道網は始発から多くの路線や区間で運休したが、夕方から徐々に運行を再開した。16日は県内のJR線でおおむね始発から運転、一部は昼から夕方の再開になる見込み。山陽新幹線は始発から運行する。阪神電鉄、阪急電鉄も通常ダイヤ通りの運行を予定する。(まとめ・田中真治)

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