「わたしの幸せな結婚」下野紘 インタビュー

「つらいことや大変なことがあっても、どこかに必ず幸せはある」

シリーズ発行部数700万部突破(コミック・電子含む)の大ヒット小説「わたしの幸せな結婚」。(以下「わた婚」)今年、目黒蓮と今田美桜のW主演で映画化もされ、待望のアニメはTOKYO MXほかで絶賛放送中。世間では冷酷無慈悲とうわさされる軍人の久堂清霞(石川界人)。斎森家の長女として生まれながら、早くに母を亡くし、継母・斎森香乃子(植田佳奈)と異母妹・斎森香耶(佐倉綾音)によって使用人同然の生活を送っていた斎森美世(上田麗奈)。奥ゆかしくも初々しい2人の恋を明るく優しく見守るのが、清霞の部下で清霞を公私ともに支える五道佳斗だ。今回は、五道を演じる下野紘に、本作にまつわるさまざまな話を聞いた。

――放送スタート前に行われた先行上映会の時の反響はいかがでしたか?

「いろんな方が見てくださって。僕が若干はっちゃけたところに関しては、『楽しませてもらいました』という声を多数頂きました(笑)」

――今回の「わた婚」は、原作漫画も読まれたということで。

「僕が演じる五道は、表面的にはかなりのお調子者であるというキャラクターなのですが、清霞をたしなめたりする部分もあり、実はかなり有能な部下なんです。清霞とは正反対のおちゃらけた子だけど、それは対異特殊部隊の若い隊員が清霞に対して緊張してしまっているから、それをほぐすためだったり、いろいろ考えてのそういう行動であって。原作漫画にはキャラクターごとのショートストーリーも掲載されていて、とても参考になりました」

――映像美も本作の魅力です。下野さん的な着目ポイントはどこですか?

「第1話(7月5日放送)の冒頭の桜から、山の風景も、人物もそうだけど背景がすごい。あと、料理の描写がすごいです。美世の手料理で、鯛、山菜の天ぷらとか、味噌汁が本当においしそうでした。すごく食べたくなる絵で。昔は、お酒を飲んだ翌朝はシジミのみそ汁を飲んだりしたなって思ったりもして(笑)。あと、ハッと思ったのは、卵焼きを作るのにフライパンを使っていたこと。物語の舞台は現実世界の日本ではなくて、明治大正をイメージした架空の世界ですけど、その時代にはすでに洋食屋さんがあったから、フライパンとか西洋的な調理器具はあったと思うんです。でも、きっと一般家庭で持っている家は少なかったと思うから。そういうところにも、清霞の家がどれだけ名家であるかが表れていて、すごく細かく描かれているなって思いました」

――本作では、石川界人さん、上田麗奈さん、佐倉綾音さん、西山宏太朗さんといった後輩の方々や、堀内賢雄さんなどベテランの方々とも共演しています。皆さんとはどんなコミュニケーションを取られていますか?

「収録も分けての収録でしたし、あまり、飲み会とかにも行かなかったので、コミュニケーションを取るのが少し難しかったです。作品によっては打ち上げが解禁されてきているので、打ち上げでは全員がそろって話ができたらいいなって思います。本作に出ている方はみんな優しい方という印象なので、ワーワー騒いだりとかではなく、おいしいものをしっかりと味わって、お互いをねぎらうみたいな“優しい会”になりそうですね!」

――「わた婚」の舞台は、明治大正を思わせる架空の時代ですが、もしそういった時代に行けるとしたら何をしたいですか?

「街並みを見て回ったり、今の日本とどれくらい夜の暗さが違うのか、とかを感じてみたいです。それに、まだ花粉症がないと思うので、こっちが花粉の時期はそっちの世界で過ごしたいですね。ただ、その間は何をやろうかな? 声優という仕事は確実になかったと思うけど、役者はあったと思うから“旅芸人一座”に参加するのも面白いかもしれません(笑)」

――「わた婚」にちなんで、下野さんが考える“幸せ”とはどういったものですか?

「個人的に思うのは、幸せって結構身の回りにいっぱいあるなって。目の前にあるおせんべいを食べておいしかったとか、のどが乾いた時にすぐ水やお茶を飲めるのも幸せだし。それをどれだけ見つけられるか、幸せだと認識して感じられるか。それをたくさん見つけていくことこそが、幸せなことなのではないかと思います。そのために、日々いろんなことで頑張って生きていることが必要だと思うし、その頑張りがあったからこそ、この幸せが見つけられたと思うことはいっぱいあります。『わた婚』で美世が清霞と出会って感じている気持ちが、まさしくそうでしょう。つらいことや大変なことがあっても、どこかに必ず幸せはある。めちゃくちゃ仕事が詰まっていて、“うわ〜、大変だな、つらいな”と思うけど、逆を言えばそれだけたくさんの仕事を与えてもらっているのは、すごく幸せでありがたいことですしね」

――では、週刊TVガイドが8月に創刊61周年を迎えたということでテレビにまつわるお話もお聞かせください。

「昔からテレビっ子でしたけど、最近見ているのは朝のニュースくらいですね。でも、今年放送していた『王様に捧ぐ薬指』は見ていました。『わた婚』とはまた少し違うけど、お家絡みの政略的な結婚が絡んでいて、ちょっと通じる部分があるのかなと思います。ヒロインは美世みたいな慎ましやかなキャラクターではないですけど、『王様に捧ぐ薬指』が好きだった方は『わた婚』も好きかもしれないです」

――下野さんにはこれまでにも度々小誌に登場していただいていますが、印象的だった取材の思い出も教えていただけますでしょうか?

「レコード会社の駐車場で撮影したことはよく覚えています。よく行く場所ですけど、駐車場には入ったことがなくて、多分その時が初めてだったんじゃないかな。“こんな所に駐車場があったのか!”と思いました(笑)。あと、食べ物系の撮影では全部食べちゃうんですよね。スタッフさんは『無理に食べなくても大丈夫です』って言ってくださるんですけど、残すのがもったいないのもあって、手を付けたものは全部食べるようにしていて。なので、これからは『食べる撮影があるのでお昼は控えてください』と事前に言ってもらえると助かります(笑)。あと、松岡(禎丞)と2人で出たこともありました。他の人もいて松岡もいてというのはあったけど、松岡と2人だけというのはすごく新鮮だったし、貴重だったと思います」

――それでは最後に、61周年にちなみ、下野さんは約22年声優をやられていますが、長く続ける上で大切にしていることは何ですか?

「何でもそうだと思いますけど、どんなことに対しても楽しみを見いだすことは大切だなと思います。この仕事に関しても、楽しいことや幸せなことばかりではなく、大変だったりしんどかったり、もう辞めたいなと思う瞬間もあります。でも、その中に楽しいし幸せだと思える瞬間があって。それがあって、続けたいと思う気持ちが勝っているからこそ、ここまで続けられていると思っています。学生時代にやっていたアルバイトもそうでした。やっぱり、楽しみを見出せないと何でも長続きできないです。皆さんがやられている“推し活”も、きっとそうだろうと思います。何かのために頑張ることは、本当にすてきなこと。それがやがて生きがいになるのではないでしょうか」

【プロフィール】

下野紘(しもの ひろ)

4月21日、東京都生まれ。B型。2016年よりアニメ化している「僕のヒーローアカデミア」シリーズ、19年よりアニメ化している「鬼滅の刃」、13年よりアニメ化している「進撃の巨人」シリーズに出演。

【作品情報】

「わたしの幸せな結婚」
8月23日
TOKYO MXほか
毎週水曜 午後11:30~深夜0:00

明治大正を思わせる架空の時代の物語。名家に生まれながらも、異能を持たないため継母と異母妹に虐げられて育った美世が嫁入りを命じられたのは、世間から冷酷無慈悲とうわさされる清霞(石川界人)だった。清霞の部下・五道(下野)も2人のことを気に掛ける。

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取材・文/榑林史章 撮影/トヨダリョウ ヘアメイク/小田桐由加里(appétite w/ YAT) スタイリング/ヨシダミホ
衣装協力/CA4LA/CA4LA プレスルーム(ハット ¥25,140)

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