「スシロー」「くら寿司」「はま寿司」いろいろ比較してみると

東京・世田谷区の店舗の看板

回転ずしチェーンの「はま寿司」などを展開するゼンショーホールディングス<7550>が、2024年3月期決算から部門別の開示内容を変更したことから、「はま寿司」の現状が明らかになった。

2024年3月期第1四半期は16.4%の増収となったものの、水産物の原材料価格の高騰により営業利益は1.2%の減少となった。また店舗数は622店舗(うち海外は40店舗)で、期中に9店舗増えたことなどが分かった。

これら数字を大手回転ずしチェーンの「スシロー」や「くら寿司」の最新の決算と比較してみると。

増収率トップははま寿司

ゼンショーは、はま寿司の国内と海外を合わせた全はま寿司の数字を「グローバルはま寿司」として公表した。それによると2024年3月期第1四半期の売上高は、441億800万円(前年同期比16.4%増)、営業利益は17億6200万円(同1.2%減)だった。

スシローを展開するFOOD & LIFE CONPANIES<3563>の2023年9月期第3四半期決算によると、スシローの国内売上高は1497億1800万円で、10.8%の減少となった。海外は469億5500万円で、こちらは84.9%増え、トータルの売上高は1966億7300万円で1.7%の増加となった。

くら寿司を展開するくら寿司<2695>の2023年10月期第2四半期の国内売上高は805億3300万円で7.4%の増加となった。海外売上高は213億1100万円で、48.8%の伸びとなり、トータルの売上高は1018億4500万円で、14.0%の増加となった。

伸び率を見ると、はま寿司の16.4%が最も高く、スシローの1.7%が最も低い結果となった。くら寿司は14.0%と2ケタの増収を確保した。

スシローの2023年9月期第3四半期の決算期間は2022年10月から2023年6月までで、コロナ禍の影響下にあった。くら寿司の2023年10月期第2四半期の決算期間は2022年11月から2023年4月でやはりコロナ禍の影響があった。

これに対し、はま寿司の決算期間は2023年4月から2023年6月までで、5月にコロナウイルスが感染力の弱い5類に変更になったほかマスクの着用も個人の判断に任されるにようなり、コロナ禍の影響が大きく薄らいだことが伸び率の差となって表れた一因とみられる。

ーは非公表

利益も売上高と同様に決算期間の違いによる影響が表れているようだ。はま寿司が1.2%の営業減益にとどまったのに対し、スシローの国内外合わせた営業利益は55.6%減少し、くら寿司の経常損益は海外が10%伸びたものの国内は赤字を余儀なくされ、トータルでも赤字が避けられなかった。

△は赤字、ーは非公表

国内に回復の波

店舗数を見るとスシローは、777店舗中海外は118店舗で海外比率は15.1%、くら寿司は636店舗中海外は95店舗で海外比率は14.9%となった。はま寿司の海外比率は6.4%で両社に比べて10ポイント近く低い。

外食産業は、コロナ禍からの回復が早かった海外での比率の高い企業ほど業績の回復が早い傾向にあった。はま寿司は海外比率が低いものの、ゼンショーは2024年3月期第1 四半期の情勢について「家族やグループでの利用が増えるなど需要の高まりが見られた」としており、こうした国内回復の波に乗って業績を伸ばした格好だ。

海外比率の高い企業がどこまで業績を伸ばせるのか、国内比率の高い企業がこれにどこまで追いつけるのか。コロナ禍後の業界地図はどのように塗り替わるだろうか。

文:M&A Online

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