世帯数、介護人員、平均年収はどう変わった?2022年の国民生活基礎調査から見える現代の課題

2023年7月4日に厚生労働省から「2022年(令和4)の国民生活基礎調査」の概況が発表されました。
国民生活基礎調査は保健や医療、福祉、年金、所得などいわゆる国民生活の基礎となる事項を調査し、厚生労働行政の企画や運営をするうえで必要なデータを得る目的とともに、各種調査の調査対象を抽出するために行われるもので、1986年に始まりました。
3年ごとに大規模な調査を実施、中間の各年においては、小規模かつ簡易的な調査を実施しています。
以下では、今回の調査結果と前回の大規模調査を実施した2019年の結果(以下、2019年調査)を比較していきましょう。

世帯数と世帯人員の状況

2022年6月2日調査時点における全国の世帯数は5,431万世帯で、そのうちの単独世帯が1,785万2千世帯(全世帯の32.9%)、65歳以上の高齢者がいる世帯が1,693万1千世帯(全世帯の31.2%)、18歳未満の児童のいる世帯が991万7千世帯(全世帯の18.3%)でした。
2019年調査は、全国の世帯数は5,178万5千世帯で、そのうちの単独世帯が1,490万7千世帯(全世帯の28.8%)、65歳以上の高齢者がいる世帯が1,487万8千世帯(全世帯の28.7%)、18歳未満の児童のいる世帯が1,122万1千世帯(全世帯の21.7%)でした。
2022年と2019年とでは、世帯数は増加していますが、単独世帯と65歳以上の高齢者がいる世帯の割合も増加し、対して18歳未満の児童のいる世帯の割合が減少しています。
今回の調査では、児童のいる世帯が初めて1,000万世帯を割ったこともあり、昨今から言われている少子高齢化社会を如実に表した数字ともいえるでしょう。
なお、世帯数は年々増加していますが、世帯を構成している人員は年々減少の一途をたどっています。
1953年には平均世帯数5人だったのに対して、2022年では平均2.25人と半数になっており、いわゆる核家族化が進んでいます。
これも時代の流れかもしれません。

各種世帯の所得等の状況

2021年の1世帯あたり平均所得金額は「全世帯」が 545万7千円でした。
2019年調査(2018年の所得)の平均所得金額は552万3千円だったことから、6万6千円減少しています。
また、年齢階級別1世帯あたりの平均所得額で、最も高いのが50~59歳の742万1千円、次いで40歳~49歳の728万5千円、30~39歳の627万2千円となり、最も低いのが29歳以下で377万5千円でした。
年齢を重ねるにつれ、責任が伴う役職などに昇進し、同時に年収が上がっていくことが予想され、60歳以降に定年退職を迎えるとおのずと年収も下がっていく流れでしょう。
ただ、人生100年時代と言われるように、定年を迎えた後も再雇用やアルバイトやパートなどで働く高齢者が増えていくと所得金額にも変化が現れる日もそう遠くないと考えられます。

介護の状況

「介護者」と介護が必要な「要介護者」との同居の状況は、2022年の調査では「同居」が45.9%、2019年が54.4%でした。
また、「要介護者」との続柄は配偶者が22.9%と最も多く、次いで子ども16.2%となっています。
少子高齢化社会においては、介護問題は非常に大きな課題と言えます。
「家族が介護をする現状がベストな選択なのか?」も考える必要がありそうです。平均寿命が延びている現状を踏まえると、今後、介護者の負担も増加していくことが予想されます。
数値だけからはさほど大きな変化には見えないかもしれませんが、現在の時代背景を加味してみると、現代社会の問題点も浮かび上がってきそうです。

<参考>
・ 厚生労働省「2022年(令和4)の国民生活基礎調査」

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