岡山市民 乳飲料や桃よく買います 総務省家計調査、野菜購入は低調

家計調査で岡山市が上位に入った(左上から時計回りに)乳飲料、ブドウ、カキ、桃

 岡山市民は乳飲料やブドウ、桃、海のカキをよく買います―。総務省がまとめた最新の「家計調査」でこんな結果が出た。岡山県内で酪農や果物栽培が盛んなことを反映するかのように、いずれも購入費が全国上位にランクイン。一方、カボチャやピーマンといった野菜の購入は低調で、市場関係者は自ら栽培する消費者が多いためではないかとみている。

 調査は、全国の政令指定都市と県庁所在地の52市を対象に実施。肉類や飲料、果物など約200品目について、2020~22年に2人以上の世帯が購入した費用の平均をまとめた。

 このうち、岡山市が唯一、1位となったのが乳飲料。年間の購入費は3789円で、全国平均(2507円)の1.5倍に上り、2位の山口市に410円の差を付けた。

 岡山県は生乳生産量が全国9位の酪農県で、濃厚なミルクが人気のジャージー牛の飼育頭数は全国2位。地場の乳業会社も複数あり、メーカー担当者は「地産地消の商品が多く、日頃から乳飲料に触れやすい環境にあるためではないか」と推測する。

 果物王国・岡山を代表するブドウと桃はそれぞれ2位と3位に入った。「贈答用で親戚などに送るケースが多いためだろう」とJA全農おかやま。同じく特産のカキも3位となり、市場関係者は「岡山では食卓に上る機会が多い。鍋や煮付け、フライなど食べる文化が定着している」と言う。

 毎年のように購入費が高くなる、食パンを除く「他のパン」も、京都市に次ぐ2位だった。

 一方、全国下位の品目が目立ったのは野菜類だ。特に、カボチャとピーマンの購入費は全国で最も低く、ナス、レタス、キュウリはワースト2位。生鮮野菜の合計で見ても、高松、和歌山市に次いで3番目に低かった。

 その理由について、市場関係者は「自宅で野菜を作っている人が多く、わざわざ買わないのではないか」と指摘。岡山市の農業産出額は政令市の中で4番目に高く、自宅で採れた野菜を隣近所で配り合う習慣もあるという。スーパーのバイヤーも「家庭菜園が最盛期の7月と11月ごろはとたんに野菜が売れなくなる」と明かす。

 緑茶の購入費も全国最下位となった。県内にも美作、高梁、真庭市などに茶産地があるだけに、海田園黒坂製茶(美作市海田)の黒坂浩教社長は「気候や土壌に恵まれた地元産のお茶は味も香りも評価が高い。一生懸命作った緑茶をぜひ飲んでほしい」と話している。

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