「事実ない」視察委に説明 受刑者暴行の公表直前

名古屋刑務所の庁舎=愛知県みよし市

 名古屋刑務所(愛知県みよし市)で刑務官らが受刑者3人に暴行を加えていた問題で、法務省が昨年12月に問題を公表する直前、民間人が運営をチェックする刑事施設視察委員会が暴行疑惑について刑務所側に説明を求めた際、同刑務所の中田学司所長が「そのような事実はない」と回答していたことが16日、関係者への取材で分かった。

 関係者によると、視察委には法務省の公表前から匿名で暴行事案が発生したという趣旨の情報が届くなどしていた。そこで、メンバーが昨年12月1日、中田所長らに面会した際、委員長が暴行疑惑をただしたところ、所長は事実を否定したという。同9日、法相が記者会見し、暴行があったと認めた。

 視察委は昨年3月、刑務所側に職員の言動や応対に対する不満が相当数あるとして対策を講じるよう要請。法務省は同8月下旬に暴行を把握し、調査を進めていた。刑務所側が視察委に暴行を認めたのは、斎藤健法相が事案を公表する数時間前だったという。

 同刑務所は共同通信の取材に「公表前のため、当時は視察委の委員長といえども『調査中である』とは言えなかった」とし、発言を認めた。

© 一般社団法人共同通信社