「もう乗っているはずだったんですけど」新幹線5時間半ストップに乗客も落胆…“局地前線”が原因?台風後の大雨のナゼ

8月16日の天気が台風みたいだ。そう感じた方も多かったのではないでしょうか。静岡県内は一部で雨雲が発達していて、朝から各地で激しい雨が降りました。台風が遠ざかったのに雨量が多くなった理由は、突然現れた局地的な前線の仕業のようです。

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午前8時過ぎに静岡市清水区内を走った車がとらえた映像をみると、大粒の雨で視界が悪くなっているのがわかります。16日の県内は、朝から激しい雨が降ったりやんだりが続きました。朝から続いた激しい雨は、徐々に県中部から県東部へと移動していきました。

<杉村直美カメラマン>
「正午の沼津市内です。さきほどから雨が強まってきて、行き交う車が水しぶきをあげています」

突然、降り出した雨で道行く人たちはびしょ濡れに。

<金原一隆記者>
「富士市浮島の工業団地近くの道です。道路が冠水して歩道まで水が上がっています」

午後3時半までの12時間の雨量は、富士市で256.5ミリと平年の8月1か月分を超えたほか、静岡で137ミリ、清水で167.5ミリを観測しました。

特に激しい雨に見舞われた静岡市と富士市、富士宮市では、土砂災害警戒情報が発表されました。それに伴い、3つの市では最大で合わせて16万8939世帯、38万9694人を対象に避難指示が出されました。

こうした雨によって大きな影響を受けたのが交通機関です。

<伊豆川洋輔記者>
「午前10時前のJR静岡駅です。静岡~三島間で、新幹線が止まっているため、多くの方が足止めとなっている状態です」

東海道新幹線は午前8時半から午後2時過ぎまで、約5時間半にわたって運転を見合わせました。台風7号を見越して予定をずらしたことが裏目に出たという人も。

<実家のある静岡から東京に戻る女性>
「本当はきのう帰る予定が、帰れなそうできょうにずらしたのに、きょうも帰れなそう」

新幹線のストップは思わぬアクシデントを生みました。三島市で開かれた「三嶋大祭り」の旗挙げ行列で源頼朝公を演じたのはタレントのあばれる君。この天候の中、東京からヒヤヒヤしながら駆け付けたそうです。

<あばれる君>
「新幹線が止まったということで、タクシーで三島まで5万円かかりました。この歴史ある祭りに参加させていただけると思うと光栄です」

止まったのは新幹線だけではありません。

<伊豆川洋輔記者>
「静岡市清水区由比です。大雨による倒木は電線の上に乗っかかるような状態です。時より強い雨も降っていますが、復旧作業が進められています」

JR東海道線は大雨に加えて、静岡市清水区で倒木が架線に引っかかったため、午後6時15分現在、一部区間で運行ができない状態が続いています。

今回、日本列島を縦断した台風7号は静岡県から遠く離れたところにまで移動しています。それなのに、なぜ16日になって大雨に見舞われたのか。気象予報士は次のように解説します。

<田中健太郎気象予報士>
「大雨の原因は局地的な前線です。午前9時の雨雲レーダーを見ると、台風に向かって吹き込む暖かく湿った南風と県内北側にある山から下りてくる冷たい北風が同じような場所でぶつかり続け、局地的な前線ができたことで、長く強く雨が降ってしまいました」

16日の県内は長さ100km程度の「局地前線」が発生していました。この前線付近に次々と積乱雲が発生し、激しい雨をもたらしたのです。

<田中健太郎気象予報士>
「県内では秋にかけて、このような状況になることが多く、注意が必要です」

これから秋にかけては、台風の襲来やゲリラ雷雨、秋雨前線による大雨が予想され、まだまだ気を抜けない日々が続きそうです。

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