「戦争遺跡」継承の動き本格化 10道県が保存状況など調査

3月に福岡県が「戦争遺跡」として文化財指定した同県行橋市の「稲童掩体」(同市提供)

 太平洋戦争関連を主とした旧軍施設や戦災跡地といった「戦争遺跡」について、47都道府県のうち10道県が保存状況など全容把握のための調査を独自に実施したことが16日、共同通信の集計で分かった。15日で終戦から78年。着手時期が2015年以降に集中し、「物言わぬ証言者」とも呼ばれる遺跡を通じた継承の動きが本格化しつつある実態が浮かんだ。劣化や消失の懸念がある中、調査から文化財指定につなげた事例もあった。

 戦争体験者が減少する中、都道府県の担当者からは遺跡を通じた継承の重要性を指摘する声が相次いだ。国による指針作成や補助金充実を求める意見も出た。

 今年7月時点での状況について回答を得た。「調査を実施済み、あるいは実施中」と答えた10道県は、北海道、滋賀、和歌山、鳥取、島根、高知、福岡、長崎、宮崎、沖縄。沖縄県は全国に先駆けて1998年から実施し、約千件の分布を確認した。文化財指定を呼びかけており、市町村による指定が増えている。長崎県は11年に行った。

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