治療薬開発に光 富大グループが化合物作成 難病の一種「ポンペ病」

 富大附属病院薬剤部の加藤敦教授、同大工学部の豊岡尚樹教授、岡田卓哉助教らの研究グループは、国指定難病であるライソゾーム病の一種「ポンペ病」の治療につながる化合物の作成に成功した。

 細胞内小器官の一つであるライソゾームは体内の不要となった物質を分解する「ごみ処理場」のような役割で、さまざまな分解酵素を含む。ライソゾーム病は分解酵素が欠損または働きが低下し、分解されるべき物質が体内に蓄積する。

 ポンペ病はグリコーゲンの分解酵素に異常が生じて、筋力が低下し、心臓機能の低下や呼吸困難を引き起こす。研究グループは、病気の原因となる酵素に結合して働きを正常に戻す化合物を作り出した。

 現在のポンペ病の治療法は、人工の酵素製剤を定期的に点滴する必要があり、高額で、繰り返すうちに効き目が弱くなるという問題がある。今回作成した化合物は糖に似た低分子化合物で、消化されにくく、経口投与が可能と考えられる。患者の負担が少ない治療薬開発が期待される。

 研究は北里大などと合同。成果は、米化学会誌「ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー」にオンライン掲載された。

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