TM NETWORK のラストライブ!東京ドームに10万人を集めた迫力のロックショー  「TMN final live LAST GROOVE [5.18]& [5.19]」がシネマシティ ライヴ・フィルム・フェスティヴァル 2023で上映

TMN突然の活動終了宣言。最後のコンサート

8月14日〜18日、東京都立川市で映画イベント『シネマシティ ライヴ・フィルム・フェスティヴァル 2023』が開催。内容は佐野元春、レベッカ、TM NETWORKのライブ映像5作品が上映される。ということで、今回はこの中から『TMN final live LAST GROOVE [5.18]』と『TMN final live LAST GROOVE [5.19]』の見どころなどをピックアップ!なお、この作品は2枚組DVDとして、当時の映像にレストア・リマスターを施し2019年にリリースされている。

このコンサートは言わずと知れたTMN活動終了宣言を受けたラストコンサート。そのためメンバーの小室哲哉、木根尚登、宇都宮隆の3人の姿はすでに語り尽くされてきた感があるが、まだ未見という方へもTMNの魅力を、そしてライブ・フィルム・フェスティバルの予習として届けられたらと思う。

TMN10年分の名曲たちが勢ぞろい!

1994年5月18日と19日の2日にわたり、東京ドームで開かれた “TMN終了コンサート” 、通称ラスグル。デビュー10周年を迎えたTMが10万人のFANKS(TMNのファンの名称)を前に、これまでの名曲を次々に披露していく濃いセットリストは、必見、必聴どころではない。

個人的には18日のセットリストがめちゃくちゃ大好きで、今でも映像を観ると胸が高まってしまう。

あまりコンサートで観ることができなかったドラマチックなメロディーが印象的な「DON'T LET ME CRY(一千一秒物語)」。

これまで何度もウツと一緒に横揺れダンスしてきた「NERVOUS」。

なぜかMVが夜の森の中で歌う3人という「ACCIDENT」。

―― この流れは本当にたまらない! そして後半にはTMの中で一番ダンサブルという言葉がぴったりだろう名曲「COME ON LET'S DANCE」! そしてこれまた個人的に大好きなコンサートとして心に刻まれている1986年、読売ランド Eastのオープニングを飾った「ALL-RIGHT ALL-NIGHT」―― と、こうして書いているだけで心も体も踊り出す。アルバム4枚目までのTMがぎっしり詰まったセットリスト。オンタイム組にとっては、それぞれの曲に青春の思い出が詰まっているはずだ。

そして翌19日、正真正銘の最後の日は、前日とは違うセットリストで、初期から現在に至るまでバランスよく名曲が散りばめられていた。

どのアーティストにとっても解散や活動休止による最後のコンサートというとナーバスなものだし、何よりファンにとっては進むにつれどんどんせつなさが増していくもの。この日も特別な気持ちでFANKSたちはステージを見届けていたはずだ。そして3人のメンバーも… と言いたいところだけれど、この映像の中に差し込まれるドキュメンタリーシーンを見てほしい。3人とも通常通りの雰囲気で、楽屋もピリピリしたものは一切ない。いつもの打ち合わせの空気感で、笑い声が響いているのもなんとも彼ららしい。

コンサート中もいつも以上に笑顔が多く、楽しそうで… これが本当に最後なのかと不思議になるほどだった。

サポートメンバーたち勢ぞろい、迫力のロックショー!

葛城哲哉と北島健二、ドラムスは阿部薫と山田亘、マニピュレーターは久保こーじ。そして19日のライブにはキーボードとして浅倉大介、ギターにB’zの松本孝弘も登場! これには胸アツ!!

今にして思うとツインドラムのリズムと音圧が凄まじく圧倒的。ロックバンドのステージとして見ても超カッコイイ。重厚という言葉では済まされないほどのサウンドと迫力に改めてうなる。

そして両日ともに何よりウツの歌声が素晴らしいのだ! 過去のコンサートの中でもベストでは!? と思ってしまうほど。直前までのソロツアーの影響だったのだろうか。とにかく歌声の艶がすごい、ルックスもクラクラするほど王子様… 久保こーじのパフォーマンスも含め、歌い手としての魅力が全開だった。ウツの才能の花が咲き誇るようなステージングに思わずうっとり。

MCでも今まで見せたことがないほど楽しそうにトークを披露(基本的にTMではMCは無いが)。お喋りが得意な木根から「それにしてもよく喋るなぁ。いつからそんなに喋るようになったんだ? だったら昔からちゃんと喋ろうよ」と突っ込みをいれられてしまうほどだった。ソロを経験し、自分が引っ張っていくステージを成し遂げた、そんな経験の賜物ではなかったかと思う。

小室哲哉からのメッセージ

18日のMCで、小室は「昔から音楽の年表があったら必ずその中にTMの名前を残したいと取材でよく言っていたんですけど、みんなが応援してくれるかぎり絶対に残ると信じています」という言葉を残した。また翌日の最後のMCで「また3人がどこかでひそかな悪だくみをしていたら見つけて」とも語っている。

あれから約30年の時が経った――「Get Wild」は時を超え今なお愛され、数々の名曲も時代とともにリアレンジを繰り返しながらアップデートを重ね、多くの人の心の中に生き続けている。そして「悪だくみ」どころか全国ツアーが今まさにスタートしようとしていることも嬉しいかぎりだ。

未見の方には、TM NETWORKの魅力がたっぷり詰まったDVDをぜひ一度見てほしい。そしてFANKSさんとは、秋からのコンサートを共に楽しみ、来る40周年を共に祝いたい!

カタリベ: 村上あやの

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