台風の時こそゆいまーる 海外の空手家7人を児童館で受け入れ 宿泊先が断水・停電 那覇・久場川

 台風6号の影響で宿泊先が停電・断水に見舞われた海外の空手家たちを、地域の児童館が一時受け入れる助け合いがあった。稽古で那覇市内に滞在していたチェコとインドの空手家7人は2日夕から4日朝まで、久場川児童館に身を寄せた。受け入れで連携した児童館と空手道場の関係者は「観光立県だからこそ、助け合いや異文化交流が当たり前になってほしい」と話し、空手家らは「暴風の中も安心して過ごせた」と感謝した。

 空手家7人は、7月下旬から沖縄を訪れ、那覇市首里鳥堀町にある小林流守武館上間道場で稽古に励んでいた。道場近くの施設に宿泊していたが、台風の影響で停電。一時断水も起きた。

 久場川児童館・大名児童館を指定管理している若杉福祉会の屋宜貢さんがその事態を知り、車で7人を迎え、久場川児童館の畳間などで停電が復旧するまで受け入れ、水や保存食も提供した。

 守武館チェコ支部の代表を務めるジャン・ギュウリスさん(58)は「この20年間、稽古で毎年沖縄に訪れているが、こんなにすごい台風は初めてだった。沖縄は第2の故郷だ」と語った。初来沖のフィリップ・スクさん(37)は「温かい支え、ケアにとても救われた。畳の上で寝るのは少し慣れなかったが」と笑顔で話した。

 上間建館長は「日頃からつながりのある屋宜さんの機転に助けられた。毎夏に世界各地から多くの空手家が沖縄に訪れる。空手を通した異文化交流を大切にしている」と話した。

 自身も海外に行く機会が多いという屋宜さんは「海外の人はとても親切でその優しさに触れるたび、『沖縄ではできているかな』と思っていた。今回、私たちにできることは少しでもお手伝いしたいと思った。親切や助け合いが広がり、当たり前になるといい」と願った。

 (座波幸代)

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