「存在感の薄い遊園地」…自虐PRの姫セン、新CMで路線変更

「日本一心の距離が遠いサファリパーク」「日本一存在感の薄い遊園地」といった自虐的PRで、独自路線を貫く「姫路セントラルパーク」(通称:姫セン、兵庫県姫路市)。2022年には「日本一過小評価されているテーマパーク」というCMを打ち出し、話題となった。

そんな姫センも今年で40周年を迎える。それに併せ、新CMが7月に公開された。次はどんな自虐で・・・と思いきや、いつもとテンションが違う!?「初デートも姫センでした」で始まりパーク内を楽しむ15秒、でも「両家の顔合わせ」という設定からやはり漂うシュール感・・・。今回のCMについて、担当者に話を訊いた。

新CM 『その人生に、姫セン。顔合わせ篇』より

■ 逆に自慢することで…始めた自虐PR

──新CM拝見しました。これまでの「自虐」から一転、「ポジティブな妄想」を発信していくとのことで。ポジティブな面を単に発信するのではなく、妄想として発信していくのがおもしろいです。

「自虐」といわれていたCMですが、もともと姫センは多くのアクティビティがあることや、大阪からの距離が意外と近いことを知ってもらえていなかったところを、「え、知らなかったんですか?」と逆に自慢することで興味をもっていただこうと考えたことから始まりました。

──なぜ今回、路線変更にいたったのでしょうか?

今回は「知らなかった多くの方」に知ってもらうことはもちろんですが、地元の方を中心とした「知っている」人たちに対して、小さな子どもの時代から学生時代、若者が大人になっていって、さらに親になって子供たちと一緒に過ごす・・・いつも思い出の中に姫センがある、そうありたいという思いを節目の年に表したいという思いで制作しました。

──もともと利用されている方に改めて、と。

そうですね。感謝の気持ちをお伝えしようと、しっかりと姫センの魅力を知ってもらえるように、その時々の場面をちりばめました。でも、姫センらしく少しふざけたようなおもしろさは残しつつ。

新CM その人生に、姫セン。顔合わせ篇

──その思いを込めて、行き着いたテーマが「顔合わせ」とは・・・。デートではなく、顔合わせに開いた口が塞がりません。

登場人物たちは、姫センをよく知っているアンバサダーレベルの方がいるとすれば、このくらいの運用をしてしまう強者なのではないか・・・という妄想から生まれました。真面目にやっていてもなんだかふざけた感じの調子がいかにも姫センっぽいです。40年の歴史のなかで来園された方のたくさんの思い出を、ユニークな登場人物たちが再現してくれています。

──公開されたサイトも、またクセ強です(新婚旅行を匂わせるところにも笑いました)。

少し馴れ馴れしい口調であったり、結婚に関連する情報のバナー広告に追いかけられたり。華やかなイラストがそこかしこにあしらわれていたり、ピンクの文字が踊っていたり。結婚情報サイトのビジュアル、話法を徹底的に、なぞりました。突飛なボケを披露する時こそ、丁寧な設えが大事であると考えました。

新たに公開されたサイトのスクリーンショット。左下がバナー広告

──今後の「姫路セントラルパーク」の方向性に目が離せません。今後の展望やご予定など、ぜひ教えてください。

おかげさまで姫センは40周年を迎えます。これからも「目が離せない」「気になってしょうがない」姫センを続けていきたいと思います。まだまだ知られていない姫センの魅力はたくさんありますので、楽しみにしていてください。

取材・文/野村真帆

新CM その人生に、姫セン。顔合わせ篇

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