【高校野球秋季神奈川県大会】横浜新主将は岩本 三塁コーチャーで指示飛ばす 名キャプテン緒方の後「怖い気持ち」

試合前ノックで村田監督にボールを手渡す横浜の新主将・岩本(中央)=横浜高校長浜グラウンド

 早くも新チームによる秋季大会地区予選がスタートした神奈川高校野球。夏の神奈川大会決勝で慶応に惜敗した横浜の新主将は、背番号20をつけた岩本龍大(2年)が任された。

 試合前ノックでは村田浩明監督(37)の横でボールを手渡し、試合に入ると三塁コーチャーとして指示を飛ばす。今夏までの緒方、そして前年の玉城と、自らプレーで引っ張るキャプテンが続いた横浜だが、新しい主将はかなり違う。

 岩本は1年春に肘内側側副靱帯(じんたい)再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受け、その後長らくプレーできず。一時はマネジャーを務めていた。選手に復帰したのは今年2月。夏はベンチに入っていなかった。

 だが、「元気の良さ」(名塚特別顧問)とリーダーシップへの信頼は厚く、新主将として部員から名前が挙がったのが岩本だった。本人は「選ばれるのはうれしかったんですが(プレーではなく)人間的なことだけで主将になるなんて。それも緒方さんの後。怖い気持ちがある」と打ち明ける。

 1年から甲子園で活躍してきた緒方が引退。新チームに対する村田監督の言葉が象徴的だ。「夏も試合に出ていた2年生に引っ張ってもらいたいが、今は緒方以上にやろうとして空回りしている状態。まだ緒方が基準になっている。新しい自分たちの基準をつくってほしい」。名キャプテンがいたからこその難しさがにじみ出る。

 緒方、杉山を超えて、再び甲子園へ。そのための選択が岩本主将。村田監督は「チームメートに厳しく言えるのが岩本の良さ。最近はなかなかいない。横浜の主将はかなりの重圧で、プレーに影響がでてしまうこともある。今年は岩本でやっていく」と話す。

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