4年ぶりに開催の「熊野大花火大会」 初盆を迎える地元親族にとってはある“特別な意味”が…花火大会の起源にもなった行事とは?

ことし4年ぶりに開催される三重県の熊野大花火大会。本来は17日に行われる予定でした。しかし、台風7号の影響で22日に延期となる中、16日にこの大花火大会の起源とされる行事が行われました。

熊野市有馬町に住む高見守さん60歳。幼い頃からこの海岸で花火大会を見続けてきました。

(高見守さん)
「ブルーシートを1枚敷いて、寝転がって花火をゆっくり見られるスペース」

グラフィックデザイナーの仕事を始めてからは、熊野市の広報用に花火の撮影を行うなどして、花火大会と関わってきました。

4年ぶりに通常開催されることしの花火大会。高見さんも心待ちにしていましたが、1つ残念なことが。

毎年、花火を楽しみにしていた父、優さん89歳が去年7月悪性リンパ腫で亡くなったのです。

(高見守さん)
「17日には毎年、父がバーベキューのセットみたいなのを庭に作って、それから花火を見に歩いて出かけるというのが毎年のことでした」

優さんにとって初盆を迎えたことしの夏。地元の人たちにとって、親族の初盆に行われる花火大会には、特別な意味があります。

(高見守さん)
「16日最後に送る時には、飾りをもって七里御浜海岸に並べて、飾られた灯籠の上をナイアガラのような花火が落ちる」

高見さんが住む有馬地区では、花火大会前日の16日に精霊供養として、墓の形を模した紙製の灯籠を焼くとともに、冥福を祈って花火を打ち上げるのです。

しかし、三重県南部に接近した台風7号の影響で花火大会は開催日が当初の17日から22日へと延期され、16日に行われる予定だった灯籠焼きも実施できるどうか台風の状況次第となっていました。

そんな中で16日夕方。灯籠焼きが行われる七里御浜海岸には、高見さんと親族の姿が。当初の予定通り行われた有馬地区の初盆供養には、高見さんをはじめ36組の家族が参加しました。

午後7時半過ぎ。冥福を祈る花火も無事上がり、いよいよ墓の形を模した灯籠にも火がつけられます。暗闇に火の粉が降り注ぐ中、灯籠はほとんど焼き尽くされました。

(高見守さん)
「花火師さんが来て『きょう花火ができる』と話してくれた時には、集まった皆さんから拍手が起こりました。それくらい皆さん、きょう(16日)送れてほっとしたと思います。私たちの誇りでもある熊野の花火」

この灯籠焼きが起源となった熊野大花火大会は、多くの人が待ち望む中、8月22日に開催されます。花火大会当日は、有馬地区以外の初盆を迎えた家庭のための合同供養も行われる予定です。

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