渡良瀬川に2000個の“思い” 足利で「灯籠流し」

人々の思いが込められ、川面を彩る灯籠=17日午後8時25分、足利市永楽町

 栃木県足利市の夏の風物詩「灯籠流し」が17日夜、同市永楽町の渡良瀬川河川敷で行われ、さまざまな思いが込められた約2千個の明かりが川面を照らした。

 灯籠流しは1947年9月の「カスリーン台風」で同市内が甚大な被害を受けたことから、台風の犠牲者の慰霊と河川の安全などを祈る送り盆の行事として50年に始まった。市内17寺院でつくる「足利仏教和合会」(幹事・采澤良俊(うねざわりょうしゅん)福厳寺住職)が毎年8月17日に行っている。

 日が暮れ始めると、河川敷には家族連れらが続々と集まった。中橋と田中橋の間に設けられた祭壇で僧侶が読経する中、参加者は六角形の灯籠を川へ流し、静かに手を合わせた。

 昨年亡くなった祖父の慰霊で訪れた同市錦町、会社員吉岡瑞希(よしおかみずき)さん(26)は「天国で安らかにお眠りくださいと祈りました」と話した。

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