豪壮な曳山勇ましく 輪島・門前で黒島天領祭

重伝建の町並を勇壮に進む曳山=輪島市門前町黒島町

  ●門前高野球部が巡行「助っ人」に

 輪島市門前町黒島町で17日、市無形民俗文化財の黒島天領祭が始まり、城の天守を模し、総輪島塗の豪壮な曳山(ひきやま)2基が雄々しく古い町並を進み、北前船交易で栄えた往時をしのばせた。門前高野球部の部員16人が初めて曳山巡行の「助っ人」として参加し、市内で最も高齢化が進む地域の伝統継承に一役買った。

 若宮八幡神社で神事が営まれた後、神輿(みこし)と、高さ約8メートル、重さ約5トンの曳山が車体を揺らし、重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)の家並みを練った。

 野球帽に法被姿の部員は曳山のかじ取り役を担った。麦わら帽に麻の半纏(はんてん)でそろえた住民らと息を合わせて、曳山の後方に突き出た操縦用の棒を押したり、引いたりして進行方向を変えた。町の北端で勢いよく回転させると、沿道からは大きな拍手が送られた。

 岐阜県出身で1年の福井剛志さん(15)は「初めての体験で大変だったが、楽しい。いつもお世話になっている地域のために、少しでも協力できてよかった」と充実した表情を見せた。

 人口約280人の黒島町は65歳以上の占める割合が約74%と、市内で最も高齢化が顕著な地域。祭りを開催するには住民以外の協力が欠かせない。

 門前高野球部員のほか、県内の大学生25人が担い手として加わり、氏子総代長の林賢一さん(75)は「若い力のおかげで無事祭りができた。ありがたい」と話した。最終日の18日は町の南側を曳山が練る。

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