県警は女性警察官が働きやすい職場づくりを進めるため、装備品や昇任試験制度を見直した。4月時点の女性警察官は237人。この10年間で倍以上に増え、出産や子育てなどをサポートする環境の充実が求められている。人事担当者は「女性のさまざまな意見を取り入れて改善している。活躍の場は広がっており、幹部になる人材の育成にもつなげたい」と話している。
施設装備課などによると、本年度から妊婦用の制服を導入した。腹部にゆとりがあるデザインで、ズボンは腰回りに柔らかい素材を使用した。現在、警察署勤務の2人が着ている。
容疑者を確保する際などに使用する警棒や耐刃防護衣も素材や構造を変えて約20%軽量化した。新採用者から順次、配備している。
勤務環境の改善にも取り組み、県内の交番33カ所のうち25カ所は女性用の仮眠室を設けた。
昇任試験は2021年度から育休中の人も受けられるようにし、出産・育児が不利にならないようにした。受験資格の「実務年数」についても、育休中を含む「在級年数」に変更した。
県警では今春、石川景子さん(50)が女性で初めて警視に昇進した。人身安全・少年課次席として業務にいそしむ。
大分を含む九州の各県警はこれまで、女性の警察署長はいない。警視庁や広島県警、長野県警などでは実績がある。石川さんは「性別に関係なく頑張っている人が評価され、女性幹部が増えてほしい」と語る。
本年度の女性警察官の採用は過去最多の27人で、採用者全体の約35%を占めた。警察官の定数2092人に対する女性の割合は11.3%(全国平均11.4%)。県警は25年度までに12%にする目標を掲げている。
女性警察官は家庭内暴力などのドメスティックバイオレンス(DV)、ストーカー対応をはじめ幅広い分野に配置されている。
警務課は「長く働き続けられるよう、悩みを相談しやすい態勢づくりにも力を入れる」と述べた。