長崎県の最低賃金 898円へ引き上げ答申 上げ幅45円は最大 長崎地方審

 長崎地方最低賃金審議会(会長・深浦厚之長崎大経済学部教授)は17日、2023年度の長崎県最低賃金(最賃)を現行から45円引き上げ、898円にするよう小城英樹長崎労働局長に答申した。引き上げ額は時給方式となった2002年度以降で最大。中央審議会が示した目安額を6円上回った。長崎県など10県の現行最賃は全国最低の853円で、答申通りに決まれば全国最低額を脱する見通し。

 45円の引き上げは深浦会長ら学識者の委員側が提示。物価高騰を踏まえて中央審が示した目安額に加え、来秋の長崎スタジアムシティ(長崎市幸町)開業などによる経済効果への期待や人材流出防止などを理由に挙げた。
 労働者側は「一定の評価はできるが、この物価高の中で十分とは言えない額」。使用者側は「原材料高で地場中小企業の支払い能力は厳しいものがある」などと主張。深浦会長を除く委員14人のうち、9人の賛成多数で議決した。使用者側は5人全員が反対した。

小城局長に答申書を手渡す深浦会長(左)=長崎市万才町、長崎労働局

 長崎労働局によると、17日現在、全国では山形、佐賀を除く45都道府県が既に決定。半数近くの22県が目安額を上回り、23都道府県は同額だった。下回る地域はなかった。
 最高の7円上乗せしたのは鳥取、島根。長崎、青森、熊本、大分が6円、秋田、高知、宮崎、鹿児島が5円、愛媛、沖縄が4円、福井が3円上乗せした。
 同局は9月1日まで異議申し立てを受け付け、10月13日の発効を目指す。

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