韓国研究陣「薄くて柔軟な全固体電池を開発...厚さ10%・エネルギー密度6倍」

韓国の研究陣が次世代二次電池として知られる全固体電池のための固体電解質膜の開発に成功したと発表している。

韓国電子通信研究院(ETRI)は、硫化物系固体電解質と高分子織物支持体を活用して、従来のペレット形態に比べて10倍以上薄く、エネルギー密度は6倍増加した固体電解質膜の開発に成功したと明らかにした。

※当該報道資料原文(ハングル):https://www.etri.re.kr/kor/bbs/view.etri?keyField=&keyWord=&nowPage=1&b_board_id=ETRI06&year_gubun=&b_idx=19057

この成果は、世界的な学術誌「ACS Applied Materials & Interfaces」(ACS Applied Materials & Interfaces)にも掲載されている。

全固体電池は、電池の核心構成要素である電解質を従来の液体形態から固体形態に置き換えた電池である。

可燃性の液体電解質を固体に置き換えることで、漏れや火災による危険性を根本的に防ぐことができる。

従来の全固体電池の研究では、固体電解質粒子に圧力を加えたり、焼結したりする工程を経て数百マイクロメートル(μm)の厚さのペレット状に製造するのが一般的だった。

しかし、固体電解質ペレットは壊れやすい性質があり、これを適用したバッテリーセルに柔軟性を付与することが難しく、厚みが厚くなるため、セルのエネルギー密度が期待とは異なり、むしろ低くなるという限界があり、商用化の障害となってきた。

このような限界を克服するため、ETRIの研究陣は、優れたイオン伝導性を持つ硫化物系固体電解質と機械的強度に優れた高分子織物支持体を活用して薄い固体電解質膜を開発することに成功したという。

また、大面積化が容易な湿式工程技術を開発し、優れた性能と動機に機械的強度、柔軟性まで確保したとETRIは強調した。

研究陣が開発した固体電解質は、従来のペレット形態の固体電解質に比べて厚さが10倍以上減少し、イオン伝導特性は2倍増加したとのこと。

これにより、ETRIの固体電解質が適用されたモノセルの出力特性は20%向上しただけでなく、体積当たりのエネルギー密度も従来比6倍増加したという。

また、高温暴露試験と高電圧試験などを通じて、ETRIの全固体電池の優れた安定性を実験で実証したとETRIは説明した。

ETRIはこれにより、高い容量を持ちながらも多様な形態に柔軟に多様化できる次世代全固体バッテリーの商用化をリードするものと期待している。

今回の研究を主導したETRIのカン・ソクフン上級研究員は、「これまで固体電解質を最終セルに適用するのに工程的な限界があったが、本研究で開発した固体電解質膜は、適用されたバッテリーセルのエネルギー密度を飛躍的に高め、全固体バッテリーの商用化可能性を大幅に高めることが期待される」と述べた。

今回の研究の責任者であるETRIのイ・ヨンギ・スマート素材研究室長は、「従来の硬くて厚く、小面積のペレット型または厚いシート型固体電解質を、薄い厚さと柔軟性を持つ膜(Membrane)の形で実現することで、従来のペレット型全固体バッテリーの技術的限界を克服しようと努力した」と明らかにした。

ETRI研究陣は今回の研究開発内容を基に、多様な基材の支持体構造を拡大適用する一方、固体電解質膜の追加イオン伝導特性の向上及び分離膜レベルの薄膜化を通じて、既存の電池セル製造方式に互換性のある固体電解質膜の研究を持続的に行う予定だ。

今回の研究は、産業通商資源部と韓国産業技術評価管理院の支援を受け、「リチウム基盤次世代二次電池性能高度化及び製造技術開発」研究事業の一環として行われた。

※写真:ETRI提供

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