矢吹奈子「アイドルの時に見られなかったような表情にも注目してほしい」HKT48卒業後初のドラマ出演で新境地に挑む――「癒やしのお隣さんには秘密がある」インタビュー

田辺桃子さん、小関裕太さんがダブル主演を務める金曜ドラマDEEP「癒やしのお隣さんには秘密がある」(日本テレビほか)。自分のことは二の次にしてしまう真面目な会社員・蓬田藤子(田辺)と、藤子の隣の家にやってきた彼女のストーカー・仁科蒼真(小関)が繰り広げる、禁断の“やみキュン”ラブストーリーだ。

先週放送の第6話では、仁科が藤子のストーカーであることが藤子本人にバレるという衝撃的でスリリングな結末に、SNSでは「ついにその時がきた!」とドキドキの声が続出! そんな息をのむ展開が続く本作で癒やしの存在となっているのが、藤子の後輩・田辺真奈美を演じている矢吹奈子さん。イケメン好きな恋愛体質ながら、明るくコミュニケーションスキルが高い“愛されキャラ”の田辺を、ナチュラルに、愛らしさ全開で演じている。

――まず、矢吹さんが演じている田辺真奈美の役柄についてお伺いできますでしょうか?

「今まで演じたことがない役柄だと思います。どちらかというと私に明るいイメージを持たれている方が多いと思うのですが、実際は意外とそんなにキャピキャピしていなくて。でも、そういう役やってみたいなと思っていたので、今回やりたかったような役をできてうれしかったです。原作の漫画も読ませていただいて、愛されキャラだなと感じたので、現場でも、視聴者の方にも愛されるキャラクターになれるようにと思って演じています」

――私も矢吹さんにピッタリだなと感じていました。今回のドラマ出演が決まった時の周囲の反応はいかがでしたか?

「私は自分では気付いていないところだったのですが、私が最近ラジオでお話している時に、人の恋愛のお話を聞くとすごくテンションが上がっているみたいで、ネットで皆さんの反応を見ていると『一緒だね』『似ているね』って言っていただいていて。確かに似ている部分もあるかもしれないなと思いました」

――先ほど「実際はそんなにキャピキャピしていない」とおっしゃっていましたが、似ていない部分の方が多いのでしょうか?

「違う部分の方が多いですね。私はあまりコミュニケーション能力が高い方ではなくて、同世代の子と話すと緊張しちゃうタイプなんです。田辺ちゃんは『こんな子になれたらいいな』と思う理想のような子なので、普段の自分じゃない自分を演じられてうれしいですし、楽しいです。自分でもこんな自分を見たことがない気がしていて。なので、撮影がある日は帰ったらすぐに寝ちゃうんです」

――それは普段と違うテンションで過ごすことにエネルギーを使っているから…ですか?

「やっぱり普段は使っていないところのエネルギーなんでしょうね。この前も、飼っているインコと遊んでいる途中にリビングの床で寝ちゃっていて、自分でも怖くなっちゃいました(笑)。結構『キャー!』っていう声も出しますし、普段の自分とは全く違うので、すごく体力使います」

――「同世代の方とおしゃべりをするのに緊張してしまう」とのことでしたが、主演の田辺桃子さんとは共演シーンも多いですよね。

「モモちゃんと呼ばせていただいているんですけど、ものすごく優しいし、モモちゃんの方がコミュニケーション能力が高いんです。誰と話していても本当に会話が途切れないですし、どんどん話を振ってくれて。どうしてできるんだろうと思うぐらい、どんな話題でも会話に入っていっているんです」

――今ではすっかり仲良しになったのですね。

「本当にすぐに仲良くなりました! 最初は私がずっと敬語を使っていたのですが、『(敬語は)なしにしよう』『じゃあ、ここから一緒にやめよう』っていう話になったんです。でも、劇中では敬語を使っているので、不思議な感じはまだありますね(照れ笑い)」

――そんな撮影ももう終盤ですね。

「そうなんです。あっという間すぎてビックリですね。一気に何話分も撮ることもあったのですが、劇中で田辺ちゃんはいろんな感情を出していたり、天然に見えて意外とちゃんと考えている部分もあったりするので、演じていても楽しいですし、いまだに台本を読んでいて、田辺ちゃんって面白いなと感じることもあります」

――撮影の最初の頃を振り返って、いかがですか?

「最初は原作を読んだ時のイメージで演じようと思っていたんですけど、実際に出来上がったものを客観視して見たら、私の想像の中で演じている自分と違っていて。それをモモちゃんに言ったら『逆にそっちの方が嫌みっぽくなくて良かった』って言ってくれたので、『いい方にいっていたんだな』と思って安心しました」

――「違って感じた」というのは具体的にどんな部分でしょうか?

「自分の耳で聞こえる声とテレビで聞く声は違うとよく言うのですが、私はそれが結構近づいてきた気がしていたんです。テレビや映像、歌声でも、今までたくさん自分の声を聞いてきたのでイメージと実際の声が近づいていたはずなのに、第1話を見た時に全く違っていて、思っていたよりハスキーな感じなのかなって。最初のシーンだったので、少し緊張していたからなのかもしれないですね」

――撮影に入られた時は結構緊張されていたのですね。

「めちゃくちゃ緊張していました! アイドルを卒業して、初めて本格的に挑戦する作品が今回の現場だったので、『これでやっていくんだ!』ってちょっと気を張りすぎちゃったのかもしれないです。今回、(柏木隆役の)前田公輝さん以外は初めましての方だったので、それもあって緊張していたのかもしれないです。でも、カメラが回っていない時もお話するようになって、仲良くしていただいているので、テンポのいい、コメディーっぽい場面も自分たちでリズム感をつかみながら演じられるようになってきたと思います。後半にかけて田辺ちゃんが変わっていくように見えるのかな?」

――映像を通して現場の雰囲気を感じられるのも楽しみです。ドラマは後半に突入しましたが、これから田辺にも変化があると伺いました。

「そういうところでも面白いキャラクターですよね。これも私とは全く違うんですが、田辺ちゃんはイケメンのお金持ち好き。でも、田辺ちゃんも田辺ちゃんなりにすごく考えているんだなと感じられる部分が、後になって分かってくるんです。誰よりもしっかりしているし、人の心の動きに一番敏感に気付く。とにかく察知能力がすごいですね。後半にかけての田辺ちゃんの見どころでいうと、原作では田辺ちゃんの恋模様は全く描かれていないのですが、ドラマでは田辺ちゃんの恋も注目ポイントになります。その心の動きをうまく表現できるように頑張れたらと思っています」

――そのポイントとなる場面の撮影はいかがでしたか?

「今日(取材日)もポイントとなる部分を撮影したのですが、自分で演じるだけでなく、相手からもらうものもすごく大きいなと感じました。ネタバレせずにお話するのが難しいのですが、前田さんからも(坂本省吾役の)武田航平さんからも、いい意味で『うわっ』って感じられましたし、『誰もそんな言葉かけてくれないのに…』といううれしいような感情にもさせてくださいました。そう思わせてくれるお芝居ができるって、すごいなとも感じましたね。アイドルの時には見られなかったような表情もいっぱい見られると思うので、そこにも注目していただきたいです」

――今年の4月にHKT48を卒業されて、今後は芝居の仕事にも挑戦されると思いますが、やってみたい作品や役柄はありますか?

「今までは学生役が多くて、できるうちに学園ものにいっぱい出たいと思っていたんです。でも、今回OL役を演じてみたら、役作りや演じる気持ちも全然違って『年上の役をやるのも楽しいな』と感じられたので、30代ぐらいの役も演じてみたいって思っちゃいました。『どこまでできるんだろう』『やってみたい』という挑戦心が芽生えましたね。あと、作品だとサスペンスに挑戦したいです。当たり前ですけど、実際には体験できないことじゃないですか。一度だけ死んだ役を演じた時に、なんだが悲しくなってしまって。お母さんが泣いて私にすがりつく…というシーンだったのですが、亡くなる人は聴覚が一番最後まで残っているって聞くので、そういうことも考えてしまって『声はこうやって聞こえているのかな』って。そういう普段ではまず体験できない役を演じたいです。あとは、学生時代からずっとアイドルをやっていてアルバイト経験がないので、いろんな職業を経験できたらいいですね」

――ありがとうございました。後半も楽しみにしています!

8月18日放送・第7話

仁科の部屋の壁一面に自分の隠し撮り写真が貼られているのを見つけた藤子は、恐怖を抱き、急いで自室へと逃げる。しかし、仁科は「話がしたい」と追いかけてくる。翌朝、藤子は会社に行かず、街をさまよいながら今後のことを考えていた。その頃、田辺たちは藤子の無断欠勤を心配していた。逃げても追いかけてくる仁科をどうにかまいた藤子は、田辺に連絡して助けを求めることに。仁科がストーカーだと知った田辺は激怒するが、状況を知った坂本は「俺にいい案がある」と言い出す。

【プロフィール】

矢吹奈子(やぶき なこ)
2001年6月18日生まれ。東京都出身。13年にHKT48第3期生オーディションに合格し、翌年からHKT48として活動。同期の田中美久と共に「なこみく」コンビとして知られ、Wセンターも務める。18年に韓国で開催されたオーディション番組「PRODUCE48」に参加し、「IZ*ONE」のメンバーに選ばれる。同年10月からは期間限定の日韓合同グループ「IZ*ONE」として専任活動を開始する。21年5月にHKT48に復帰。今年4月にグループを卒業し、本格的に俳優活動を始動させる。主な出演作に「沼る。港区女子高校」(日本テレビほか)など。IZ*ONE時代に習得した韓国語のスキルを生かし、イベントなどでMCを務めるほか、ラジオパーソナリティーとしても活躍している。

【番組情報】

金曜ドラマDEEP「癒やしのお隣さんには秘密がある」
日本テレビほか
金曜 深夜0:30~0:59 ※8月18日は深夜0:50~1:19
※TVer、Huluでも毎週金曜深夜0:30より定時配信

取材・文/K・T(日本テレビ担当) 撮影/蓮尾美智子

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