国重要文化財の赤れんが倉庫でシェアオフィス 「とり貝アプリ」を開発 京都・舞鶴

木材をふんだんに使ったシェアオフィスで働く勝手さん(舞鶴市北吸・舞鶴赤れんがパーク3号棟)

 京都府舞鶴市北吸の舞鶴赤れんがパーク。旧海軍の遺構の赤れんが倉庫が並ぶ市内有数の観光スポットだが、3号棟の階段を上ると木材で仕切られた小部屋がいくつもある。今年1月に開設されたシェアオフィスだ。

 その一室にIT企業のKDDIアジャイル開発センターが構えた「舞鶴サテライトオフィス」のオフィス長として、2月に就任した勝手壮馬さん(38)=舞鶴市丸山中町。現在このオフィスで働くのは自分1人だけだが、再来年までに10人を採用する計画だ。

 舞鶴と同じく日本海に面した島根県江津市出身。入社以来12年間東京で暮らしたが、自ら手を挙げて舞鶴への異動を希望した。決め手はシェアオフィスの環境。国重要文化財の赤れんが倉庫に木材を多用して作られたシックな雰囲気がお気に入りで「東京のオフィスよりも肩肘張らずに仕事ができる」という。

 現在最も楽しい仕事は「とり貝アプリ」の開発だ。京のブランド産品「丹後とり貝」の養殖に関するデータを収集、分析して最適な生育環境を探り出すプロジェクトの一部を担う。

 アプリを使用する漁業者の元に時々出向き、改善点などの要望を聞き取る。「社内の打ち合わせや開発の作業はリモートでできるが、開発したものが使われる現場に継続的に行けるのは拠点があるからこそ」とサテライトオフィスの利点を感じている。

 転勤の可能性もあるが「5年、10年と腰を据えて舞鶴で働きたい」と希望。「まだ実証実験段階のとり貝アプリを実用化させ、舞鶴や宮津などで広く活用されるものにしたい」と意気込む。

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