黒犬スキと、夜のパリでピラミッド散歩

こんにちは、フォトグラファーの吉田パンダです。前回に引き続き、そのまま夜のパリ歩き。「ところでワタシが黒犬ですっ!」とリュックの中で主張しているのは、闇に紛れる漆黒を継ぐスキッパーキのスキです。

さて、パリから引っ越してからは日没後に歩くことも少なくなりましたが、やはりパリには夜がよく似合います。

カフェの一角。黄昏時に眺めると魔法の言葉のように見えるかもしれませんが、「私たちのオムレツ(あります)」と書かれているだけです、はい。でも、魔法のオムレツかも?

こちらの店名は「レ・バルカン」。店主は一時期ヨーロッパの火薬庫と呼ばれた、バルカン半島エリアのご出身でしょうか。カラフルなライトアップが、まるで縁日の露店のようです。

「あの、もうつかれたので、中で寝てても良い?」

ちょちょちょ、まだ始まったばかりだよ。もうひとがんばりモデルしてくださいよ、スキ先生。おやつもあるよ(唯一の懐柔策)!

「はい、ごちそうさまです!スキです!後ろにボケて見えるのはパリの地下鉄サン・ミッシェル駅の入り口です。アール・ヌーヴォー様式が流行った1900年、建築家のエクトール・ギマールがデザインしたもので、こちらはそのレプリカになりまっす」

はい、解説ありがとうございまっす。1900年当時のものは第一次大戦後にほとんど解体されてしまい、現存しているオリジナルはアベス駅とポルト・ドフィーヌ駅の二つだけです。1960年過ぎにアール・ヌーヴォー様式が見直され、パリの各所でレプリカが設置されました。今やもう、パリの顔のひとつですね。

交差点のバス停から。

対岸を望む景色は一枚の絵のような、ジオラマのような。

暮れていく碧空(へきくう)とオレンジ色の街燈(がいとう)。「パリの色は?」と聞かれたら、最初に思い浮かべる二つの色です。

「あの、まだ起きてますよ」

えらい、えらすぎるぞ黒犬。

ルーブル宮へと続く、Pont des Arts(ポンデザール、芸術橋)。何だかロマンチックな場所で撮影していますが、家人が手に提げている紙袋の中身は広東風中華料理。帰ったら食べようと思い、この近くの老舗店「美麗華酒家(ミラマ)」で調達しました。今宵のパリの香りといえば、チャーハンに唐揚げ、、←夜景が台無し。

そんな中華な香りに包まれたまま、ルーブル宮殿中庭に到着しました。

「はいこちら!建築家イオ・ミン・ペイが設計し、1989年に完成したパリを代表するランドマーク、ルーブル宮殿中庭に設置されたピラミッド前に来ています。えー、『黒い悪魔』との異名を持つワタシにとって、悪魔の数字とも言われる666枚のガラス板が使われたというこのピラミッドは特別な意味を持っておりまして、ひとたび満月の夜にピラミッドパワーを浴びればですね、この黒犬の隠れた魔力が、、」

いやいや、公式にその都市伝説は否定されていますよ。実際、673枚らしい。

パリの夜景といえば外せない、ピラミッド前です。

人も少なく、ピラミッドを含めたパノラマを見渡せるのは、中庭を奥まで進んだ場所。記念写真ポイントですね。

愛を語るにも、ちょうど良い舞台かも知れません。

「スフィンクス!!」

ピラミッドだけに!!いやいや、今いいこと言ってたんですけど。

夏の夜が似合う、華の都からお伝えしました。

「おわった?もう寝てもいいかな?」

ヤドカリ犬でほとんど歩いていないんですが、都会に来ると気疲れする田舎犬スキです。今日もお付き合いありがとう。帰り道のドライブでは、ゆっくりお休みください。

© 株式会社産経デジタル