「食事付きが良かったんですけど…」 観光地なのに“夕食難民” 深刻化するホテルの人手不足

新型コロナが5類に引き下げられ初めてとなる夏の観光シーズンを迎えた愛媛県の道後。
お盆休みで賑わいを見せましたが、いま、ある課題が浮き彫りとなっているようです。

8月16日、お盆休みで多くの人が行き交う道後の商店街。夕食時には、行列ができる飲食店も…

(観光客)
「食事付きが良かったんですけど、予約したのが遅かったんかな」

関西から訪れたある家族は、この日、道後のホテルに1泊。食事付きのプランを希望していましたが、予約できませんでした。

スタッフは、周辺の飲食店を案内します。本来ならホテルで食事もできるはずなのに、一体なぜ…

道後のホテルや旅館では、今年5月に新型コロナが5類に引き下げられて以降、宿泊客がコロナ禍前の水準に回復してきました。

しかし今、従業員が不足していて、全ての食事の希望には対応できないというのです。

(道後プリンスホテル・河内広志会長)
「我が社含めて、多くの宿泊事業者が大きな悩みを抱えている。コロナ禍前は、夕食を580食程度は引き受けていたが、現在は320~350人まで圧縮している」

このホテルでは現在、予約の4分の1は素泊まりプランを案内せざるを得ない状況になっていて、食事が提供できない分、売上は3割程減少しているそうです。

さらにここ数年は、求人を出しても必要な人数がなかなか集まらない状況が続いています。

不足する社員を補っているのがアルバイト。その中心は学生ですが、お盆や正月などの繁忙期に確保が難しいと話します。

(道後プリンスホテル 客室課 菊池毅課長)
「お盆前は12人・14人・11人とそれなりに人が入っているが、いざお盆に入ると10人・8人・7人という、一番人が欲しい時期に、どうしても実家に帰ったりすることで足りていない」

このホテルがアルバイトを集めるために2年前から始めたのが…

(道後プリンスホテル 客室課 菊池毅課長)
「お友達を紹介してもらったら、5000円礼金として渡すというのをやっている」

紹介したアルバイトが直近の繁忙期に働いた場合、紹介者に5000円を支払うキャンペーン。この取り組みでこれまでに10人ほどを人出を確保したそうです。

(道後プリンスホテル客室課菊池毅課長)
「それなりに効果はある。特に友達が多い子は積極的に紹介してもらっている」

ただ、学生アルバイトは一時的な雇用でしかなく、近年、労働者がワークライフバランスを重視する傾向にあることから、ホテルの経営者は宿泊業界で慢性的な人出不足が続くと分析しています。

(道後プリンスホテル・河内広志会長)
「人が減ると客に対する評価点・口コミなども下がる。それが今後の集客にも大きく影響をおよぼすので人は雇用したいが、その状況がなかなか将来的に見えないというもどかしさに苦しんでいる」

新型コロナの5類引き下げで反転攻勢を図る観光地・道後。

人手不足をどう乗り越えるか、模索は続きます。

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