連ドラ主演から女子高生家政婦まで、今大注目の若手女優・畑芽育、「ノッキンオン・ロックドドア」撮影の楽しみは松村北斗&西畑大吾の“会話”!?

テレビ朝日系で放送中のドラマ「ノッキンオン・ロックドドア」。SixTONES・松村北斗さんとなにわ男子・西畑大吾さんがダブル主演を務める本作は、密室犯罪や衆人環視の毒殺など事件のトリック(=HOW)解明を得意とする“不可能”専門探偵・御殿場倒理(松村)と、ダイイングメッセージや現場の遺留品などから動機や理由(=WHY)を読み解く“不可解”専門探偵の片無氷雨(西畑)のダブル探偵が、探偵事務所「ノッキンオン・ロックドドア」を舞台に、さまざまな難事件に挑んでいく本格ミステリー作品だ。

密室殺人、衆人環視の毒殺という一筋縄ではいかない難事件の裏で、倒理と氷雨も関わる“6年前のある事件”の姿も見え隠れしている本作。その中で癒やしともいえる存在がいる。探偵事務所で家政婦としてアルバイトをしながら2人を支える高校生・薬師寺薬子だ。かわいらしい見た目を持ちながら「私には労働が必要なんです」「努力してる人間をばかにすると、人間の底が知れますよ」と発するギャップが「辛辣(しんらつ)で最高」「かわいいのに面白い」と注目を集めている。

リアリズムな一面を持つ少し変わった薬子を演じるのは、今年公開された映画「なのに、千輝くんが甘すぎる。」でも注目を集め、今クールはほかの連続ドラマで主演も務める畑芽育さん。今回、畑さんを直撃してみると、初の堤幸彦監督での現場に「とても刺激的な毎日を送らせてもらっています」と笑顔を見せながら、松村さんや西畑さんのお話、演じる薬子の役作りについて語ってくれた。

――制作発表会見の時もキャスト同士がかなり和やかな雰囲気だと感じました。現場の雰囲気はいかがですか?

「とてもいい現場ですし、監督やスタッフさんをはじめ周りのキャストの方々も皆さん本当に温かい方々ばかりなので、夏の時期で暑い現場ではあるのですが、いつも爽やかな感じで和やかに現場は進んでいます。薬子が氷雨さんと倒理さんに『この謎ってどうなんでしょう?』という提案をしてみたり、現場検証について行ってみたり、お二人とご一緒させていただくシーンも多かったです」

――会見では「堤監督のむちゃぶりもある」というお話もありましたが、初めての堤監督の現場はいかがですか?

「西畑さんもおっしゃっていましたが、私も堤さんの作品がすごく大好きだったので、『まさかご一緒できるとは…』と思いながら一緒にお仕事させていただいたのですが、やっぱり今までに経験したことがない演出の仕方でした。探偵事務所の部屋とその隣にベース(監督が映像を確認する部屋)があって、ベースにいる監督はマイクを通じて急にむちゃぶりしてくるんです(笑)。『ちょっと薬子ちゃん、そこで小ボケして』とか『そこかわいく言ってみて!』と突然要求されるので、びっくりしています。でも、臨場感がある現場は今までもありましたが、こういった経験はなかったのでとても刺激的な毎日を送らせてもらっています」

――かなりアドリブ力が鍛えられそうですね。

「そうですね(笑)。なんというか、監督もカメラマンさんも照明さんも音声さんも、制作部が一体となって、皆さん頭を100%フル回転して現場に挑んでいるという感じです。だから、いい疲れがあります。毎回『すごく心地よかったな、楽しかったな』という気持ちで終えられています。この炎天下だから、アドレナリンもめちゃくちゃ出ています」

――撮影の中で、畑さんが楽しみにされていることは何かありますか?

「いつも楽しみにしているのは、松村さんと西畑さんの会話をこっそり聞くことです(笑)。お二人の思わずクスッと笑ってしまうような会話をずっと聞いているのがすごく好きなんです。石橋静河さんも会見でおっしゃっていたのですが、ちょっと小学生みたいなくだらない会話とか、すごく仲むつまじい様子が見られて。でも、今回お二人のセリフ量が本当に膨大なのですが、純粋にお二人のお芝居を見るのもすごく楽しませていただいています」

――では、共演者の皆さんの印象を教えてください。

「石橋さんは以前一度、共演させていただいたことがあったので、石橋さんがいらっしゃるというのを知った時はすごく安心感がありました。前回の現場よりもさらに仲良くさせてもらえていて、“お姉ちゃん”という感じです。女性のキャストが石橋さんと私ぐらいしかいらっしゃらないので、石橋さんが探偵事務所に来てくれた日はすごくテンションが上がっています」

――Instagramのストーリーでも、石橋さんとの動画をあげられていましたよね。仲の良さが伝わってきました。

「そうなんです! 本当によくしていただいて…。薬子は倒理と氷雨を箱推ししているという設定なのですが、実は(石橋演じる)穿地(決)さんも大好きで、穿地さんまでまとめてみんなを推しているような裏設定を勝手に持っています(笑)。どのキャラクターもすごく愛らしくて、みんな箱推しです。松村さんと西畑さんは同年代というよりも先輩なので、どういう会話をしたらいいのかという不安が最初はあったんです。でも、お二方ともすごくいいお兄さんというか、私にも声をかけてくださったり、気さくに話してくださるので、ずっとみんなでゲラゲラ笑っていて、笑いの絶えない楽しい現場です」

――そんな中で、今回、薬師寺薬子を演じられていますが、かなりくせ者ですね。どんな人物だと捉えていますか?

「倒理のセリフにもあるのですが、『笑っていればなんでも許されると思ってるだろう』というセリフの通りで、ニコニコしていれば大人のそういう目をかいくぐれると思っているような、ちょっとしたたかな女の子なんです。ひょんなことから自分の両親が大金を手にしてしまって働かなくて済むようになってしまったから、それが薬子ちゃんにとっては世間と乖離(かいり)しているという理由で、家政婦のアルバイトを始めたんですね。だから、物事を達観して俯瞰(ふかん)で見ることができる大人な部分がありつつ、倒理さんのようなちょっとワイルドで乱暴な気質を持っている人に振り回されたりもしていて、『私がニコニコ笑っていても、大人ってうまくいかないんだな』という、ちょっとしたもどかしさを抱えているところもあって、演じていてもすごく楽しいキャラクターです」

――役作りでこだわりなどはありますか?

「原作も読ませていただいて、『どういうキャラクターなんだろう』といろいろ思案した部分はあったのですが、それよりも堤監督がその場でつけてくださる演出だったり、声の発し方、セリフの語尾、そういう細かいポイントで薬子のキャラクターがあるので、もちろん原作も大切にしているのですが、『ドラマでの薬子ちゃんはどういうイメージなのか』ということをあらためて気持ちを一新して、原作ファンの方々にもドラマで薬子ちゃんの演技を楽しんでもらえたらいいなと思っています」

――“箱推し”という言葉もありましたが、薬子が箱推しする倒理と氷雨のコンビの魅力はどのように感じていますか?

「薬子ちゃんの目線で見ると、腐れ縁というか、切っても切り離せない関係というか、『倒理さんと氷雨さんって絶対何かあったんだろうな』という、ちょっと引っかかる部分もあって。でも、すごくしたたかな心を持っている薬子ですらそこに踏み込めない、『聞いてはいけないことがあるのかも』と思わせるミステリアスな関係性が、すごく興味をそそられるというか。いつも小競り合いしているけど、ずっと一緒にいて、仕事仲間でありライバルでもある不思議な関係が、薬子にとってはすごく興味を持たされて、関心が向くようになっているキャラクターたちなのかなと思います」

――一歩間違えれば危うい雰囲気がありますよね。

「ドラマを見続けていけば2人の関係性もいろいろ分かってくるのですが、そういう意味ではある種、薬子は視聴者の方々と同じ目線でいる気がします。『倒理と氷雨の関係性ってなんなんだろう』『ちょっと不思議な2人だな』と思う部分もあるし、2人が持ってきた謎にちょっと首を突っ込んでみたりする部分が、見てくださる皆さんと同じ視点に立って、薬子はその代表として探偵事務所にいると思ってもらえたらうれしいです」

――ちなみに、もし畑さんが依頼主として、倒理のような変人と氷雨のような常識人に依頼をするなら、どちらを選ばれますか…?

「どっちなんだろう…難しいな…。どっちにもどっちもの良さがあると思うのですが、勝手な私の思考を入れると、私がすごく穏やかに話す人が好きで(笑)。倒理さんみたいに、ものすごい量の言葉をナイフのように突き刺していって、こっちが返す隙すらも与えないぐらい爆裂に話し始める姿を見ていて、『あ、この人って怖いな』と思った節があるので(笑)、氷雨さんみたいに穏やかに淡々と、分かりやすく説明してくださる探偵さんの方が私には合っているのかもしれません。安心感があるのは氷雨さんなのかな…でも、切り込み隊長みたいな倒理さんの役割もすごく大事なので、やっぱり2人がいいバランスになっているのかなと思います」

【プロフィール】

畑芽育(はた めい)
2002年4月10日生まれ。東京都出身。主な出演作にドラマ「99.9-刑事専門弁護士-」シリーズ(TBS系)、「荒ぶる季節の乙女どもよ。」(TBSほか)、NHK大河ドラマ「青天を衝け」、「純愛ディソナンス」(フジテレビ系)、映画「なのに、千輝くんが甘すぎる。」(23年)など。現在放送中のドラマ「最高の生徒〜余命1年のラストダンス〜」(日本テレビほか)では主演を務める。

【番組情報】

オシドラサタデー「ノッキンオン・ロックドドア」
テレビ朝日系
土曜 午後11:00〜11:30 ※8月19日は午後11:30~深夜0:00(予定)
※放送終了後、TVer(https://tver.jp/series/srlxv6mww1)で最新話を見逃し配信
※TELASA(https://www.telasa.jp/series/13629)では、全話独占配信中

取材・文/平川秋胡(テレビ朝日担当) 撮影/尾崎篤志

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