<レスリング>2023年U20世界選手権(ヨルダン)出場の男子フリースタイル・チームが帰国

 

 ヨルダン・アンマンで行われている2023年U20世界選手権に出場した男子フリースタイル・チームが8月18日、成田空港に帰国した。「金1・銀1」を獲得し、国別対抗得点は4位で、2選手が優勝した2019年大会に並ぶ成績だった。

 小平清貴監督(警視庁)は「西内(悠人=日体大)が男子初の2連覇という偉業を達成してくれたのはよかった。86kg級の五十嵐(文彌=山梨学院大)は決勝で敗れはしたものの、勝つチャンスもあった。軽量級から重量級まで、レベルが上がっていることを感じます」と言う。8月初めのU17世界選手権(トルコ)でも2選手が優勝した事実を挙げ、「若手選手が十分に力をつけていることを感じます」と総括した。

 アンマンは東京と同じくらいの暑さだったそうで、エアコンがあまりきいていなかったのか、試合会場もウォーミングアップ会場も暑く、「いるだけでスタミナを奪われるようだった」と言う。だが、選手はしっかり対応していたそうだ。「コロナの影響で海外経験の少ない選手が多いのに、よくやっていましたね」と、コンディション作りをしっかりこなせる力にも満足そう。

 

▲銀メダル獲得の五十嵐文彌(左=山梨学院大)と2年連続優勝の西内悠人(日体大)

 メダル獲得は2選手だったが、65kg級の荻野海志主将(山梨学院大)が5位入賞するなど、国別対抗得点は昨年の7位から4位へ躍進した。しかし、優勝=イラン、2位=米国、3位=インドと、上にアジアの国が2ヶ国いることに警戒感を口にする。「アジアの国はシニアでも活躍するでしょう。アジアの国の研究を今後しっかりすることが必要になってくると思います」と話した。

 昨年と違い、ロシアがAIN(中立)とした参加した大会。どこともなく雰囲気が違ったという。しかし、ロシア選手と闘った74kg級の神谷龍之介(日体大)がタックルを決めており(2-3の惜敗)、「それほど恐れることはないと思います。今の日本選手の力なら互角以上に闘えると思います」と選手を信頼した。


 ■57kg級2連覇・西内悠人(日体大=昨年は61kg級で優勝)「57kg級に落として、勝たなければいけない大会だったので、ホッとしたという気持ちです。海外での減量は初めてで、そのあたりに不安がありましたけど、減量のことを考えたことで試合に対するプレッシャーを感じないことがよかったです。最初の試合が思うようにいかなかったですけど、そのあとの2試合は自分の動きが出せてよかったです。決勝は、前半は攻めることができましたが、後半は組み手で守る形となってしまい、それがよくなかった。

 U20で勝つことではなく、パリ・オリンピックとかを目指してきた。そうした選手の中でもまれてきて、そのプライドにかけても、ここで負けるわけにはいかない、という気持ちはありました。樋口さん(黎=シニア世界選手権代表)は圧倒的な強さなので、自分のパリ・オリンピックの道は厳しいとは思います。パリをあきらめる、ということではなく、ロサンゼルス・オリンピックを目指すことに気持ちを切り替えています」

 ■86kg級2位・五十嵐文彌(山梨学院大)「自分の実力はまだ世界で通用するとは思っていなかったので、はっきり言って、メダルを取れるとは思っていなかった。取れたので、うれしいです。(準決勝までの4試合を無失点のテクニカルフォールを指摘され)くじ運がよかったからです。組み手ができて、(相手を)落とすことができて、スタミナを奪うことができたのがよかったのかな、と思います。

 決勝は強い相手なので、勝つことより、ポイントを取ることを考えて臨みました。(最後は相手がばてていて)それが自分のレスリングです。あと2点、3点が取り切れなかったことが課題です。自信とまでは言えませんが、『また頑張ろう』という気持ちになった銀メダルです。いまの体重は80kgくらい。86kg級の体をつくることが今後の目標です」

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