氷見・一刎に中世の塚 市立博物館が確認 区長宅から「言い伝え通り」

庭にある塚を紹介する山田さん=氷見市一刎

  ●作成中の名所マップ掲載へ

 氷見市一刎(ひとはね)の山田儀良(よしなが)区長(74)宅の裏庭で、中世の塚が見つかった。山田区長によると、昔から大事な場所と言い伝えられており、自治会で進める地域の名所巡りマップづくりをきっかけに、氷見市立博物館に調査を依頼したところ、遺跡と確認された。塚はマップに掲載する考えで、山田区長は「先祖が残してきた地域の宝を大事にしていきたい」と話している。

 調査は6月に、氷見市立博物館前館長の大野究主任学芸員が行った。

 塚はややいびつな円形で、長径は東西5.7メートル、短径は南北4.3メートル、高さ0.7メートルで、こんもりと盛り上がり、表面にこぶし大の石が多数敷き詰められている。五輪塔を構成する石の一部である「水輪」が残っており、わずかに梵字(ぼんじ)が読める。中世の15世紀後半ごろの石塔と推測される。

 塚は「一刎宮格内塚」の名称で埋蔵文化財包蔵地として登録された。一刎地区には、南北朝期の合戦の舞台として文献に登場する芝峠城跡が所在するほか、木曽義仲、蓮如、上杉謙信などに関する伝承も数多く残っており、大野さんは「武士や僧侶など、それなりの地位がある人物の墓ではないか」と推察した。

 山田区長によると、幼いころから大事な場所と聞かされてきたといい「祖父から上に登ってはいけない、立ち小便なんてもってのほかや、とよく言われた。近所の子どもも近づかなかった」と振り返る。「ずっと言い伝えが本当なのか半信半疑だった。間違いじゃなくてほっとした」と顔をほころばせた。

 自治会では来年春の完成を目指して地域の名所をまとめたマップを作成中で、掲載する名所の掘り起こしを進めている。山田区長は「一刎にはたくさんの宝が埋まっている。魅力が伝わる良いマップにしていきたい」と力を込めた。

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