茨城・桜川市役所の屋上で養蜂 里山保全へ機運醸成

養蜂家からミツバチについて説明を受ける桜川市職員ら=同市役所大和庁舎

養蜂を身近に感じてもらうことを通して、ヤマザクラや里山保全に対する市民の関心を高めるのを狙いに、茨城県桜川市は18日、同市羽田の市役所大和庁舎屋上にミツバチの巣箱を設置した。11月末までの約3カ月半、市職員らが試験的に養蜂に取り組む。

市は昨年から、新たな特産品づくりのため、名所として知られる平沢地区の高峯一帯のヤマザクラを生かした蜂蜜の採取を推進している。3月末から約1カ月間のヤマザクラ開花時期に合わせ、同県五霞町の養蜂家、松沼孝行さん(47)が高峯の麓にある民家2軒にセイヨウミツバチの巣箱を設置。昨年は6箱から約60キロ、今年は13箱から約120キロの蜜を採取し、市内の直売所などで販売している。

今回は同じミツバチ約1万6千匹がすむ巣箱2箱を大和庁舎屋上に設置した。松沼さんによると、8~11月はサルスベリやヒマワリ、ソバなどの花が蜜源になるという。

市ヤマザクラ課の五島巧さんは「蜂蜜を取るためには豊かな自然環境が必要」と指摘する。市民の身近な場所で養蜂することで、市民に自然の大切さや環境保全について理解を深めてもらうのが目的だとし、「里山保全への機運を高めたい」と意気込む。

庁舎屋上で松沼さんは、麻布を燃やした煙を使ってミツバチを落ち着かせながら、設置した巣箱を開けた。女王蜂のいる場所などを示しながら、「週に数回は巣箱を開け、女王蜂はいるか、卵は育っているか、中で群れが健全に育っているか、確認してほしい」と指導した。

今後、同課職員や地域おこし協力隊員がミツバチの様子を見守っていく。五島さんは「希望があれば市民の見学も受け入れる。同課に声をかけてほしい」と話した。

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