市民団体が新組織結成 「世界に伝わる原爆展示を」 長崎原爆資料館、2025年度リニューアルで

新団体の結成趣旨を説明する本田共同代表(右)=長崎市役所

 長崎市が2025年度に予定する長崎原爆資料館のリニューアルで、過去の日本のアジア侵略など「加害」に関する展示が削除・修正される可能性があるとして、これに反対する20の市民団体が「世界に伝わる原爆展示を求める長崎市民の会」を22日結成する。「原爆の被害展示だけでは、来館するアジアや世界の人々の反発を招き、核兵器廃絶を求める国際世論を形成する障害になる」と訴える。
 共同代表は、被爆者で原水爆禁止日本国民会議(原水禁)共同議長の川野浩一氏と、県保険医協会長の本田孝也氏の2人。結成集会は22日午後6時から長崎地区労会館(同市金屋町)で開き、東アジア近現代史や歴史教育などに詳しい井口和起氏(元京都府立大学長)が講演する。
 市民の会の参加団体が18日会見し、結成理由を説明。侵略や植民地支配を否定する「歴史修正主義」に基づき、資料館展示や教育の在り方に変更を求める動きは、全国的に起きていると指摘。本田共同代表は「日本の若者に戦争の歴史を正しく伝えなければ、世界と歴史認識のギャップが生じ、相互理解や信頼を深めることが困難になる」と危機感を示した。
 現在、専門家らでつくる同館運営審議会がリニューアルの方針などを検討しており、市民の会は今後、議論の行方に応じて活動を展開する方針。

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