中国、台湾周辺で軍事演習 副総統の米国立ち寄りに対抗

 【北京、台北共同】中国軍で台湾方面を管轄する東部戦区は19日、台湾周辺で海軍と空軍による合同の軍事演習とパトロールを同日始めたと発表した。台湾の頼清徳副総統が南米訪問の際に米国に立ち寄ったことへの対抗措置。東部戦区は演習について「台湾独立勢力と外部勢力の結託した挑発行為に対する警告だ」と強調し、米国をけん制した。

 頼氏は来年1月の台湾総統選の与党、民主進歩党(民進党)候補。中国は民進党が政権を維持して対米接近を強めることを警戒しており、軍事的圧力を加えて選挙を控えた台湾を揺さぶる狙いもありそうだ。

 台湾国防部は19日「非理性的な挑発行為」だと非難し、適切な兵力を動員し対応すると表明した。

 東部戦区は演習で艦船と航空機による連携に重点を置き、制海権や制空権を奪取するなどの訓練を行ったという。「実戦能力の検証」が狙いとしている。

 中国共産党で台湾政策を担う党中央台湾工作弁公室は19日、頼氏は台湾独立を狙っていると非難し「国家主権と領土の一体性を断固として守る」とする談話を発表した。

© 一般社団法人共同通信社