全国高校野球 茨城・土浦日大 初の4強 県勢20年ぶり 大舞台「化ける」ナイン【更新】

初の4強入りを決め、喜ぶ土浦日大の選手たち=甲子園球場

全国高校野球選手権大会第12日は19日、甲子園球場で準々決勝4試合が行われ、茨城県代表の土浦日大は八戸学院光星(青森)を9-2で破り、初の準決勝進出を決めた。茨城県勢の4強入りは2003年に全国制覇した常総学院以来20年ぶり5回目。次は21日第2試合で慶応(神奈川)と決勝進出を懸けて対戦する。

土浦日大は三回、後藤陽人と松田陽斗の適時打で3点を先制。五回2死満塁から太刀川幸輝が右中間への走者一掃の適時三塁打などで5点を加えた。九回には先頭の松田が大会20号の中越えソロ本塁打。投げては今大会初先発の伊藤彩斗とエース藤本士生の継投で2失点に抑えた。

茨城県勢の4強入りは取手二、常総学院に次いで史上3校目。塚原歩生真主将は「胸を張って甲子園に来ただけに4勝目はうれしい。これからも一戦必勝で戦う」と話した。

▽準々決勝
土浦日大-八戸学院光星(10時39分、26,000人)
土浦日大   003005001|9
八戸学院光星 000110000|2

(土)伊藤彩、藤本‐塚原
(光)洗平、岡本、越智‐藤原

▽本塁打 松田2号①(土)(越智)
▽三塁打 太刀川(土)
▽盗塁 太刀川(3)(土) 後藤2(5)(土)
▽残塁 土9光9
▽併殺 土0光1(池田‐西尾‐新城)後藤=1回
▽暴投 藤本(土)=4回
▽審判 (球)高田、中西、四方、大上
▽試合時間 2時間18分

■大舞台「化ける」ナイン

「甲子園で選手たちは全く別人になる。成長とはまた違い、化けるんです」。4強入りを決めた土浦日大の小菅勲監督(56)が語る。1984年夏、取手二の三塁手として、桑田真澄や清原和博らを擁するPL学園(大阪)を破り、全国制覇した自分たちの経験と重ねる。

公式戦1本塁打のみだった松田陽斗(3年)は既に2本塁打を記録。大井駿一郎(2年)は高校初アーチを放った。

「化ける」力は結束と分析にある。「束になって戦えている」と選手は口をそろえ、全員が相手チームのデータを頭にたたき込む。相手投手の癖を見抜き、嫌がる方向へバント。隙が見えれば、連打や長打につなげる。

選手が作戦を提案することもしばしば。指揮官もベンチ内外の選手を鋭く観察する。「私の野球のエッセンスは木内(幸男)さん」と話す。その上で「あの人は天才。私はひらめいてサインを出すことはできないが、選手の機微を見る目は大切にしている」。選手と共に練り上げるのが「小菅マジック」だ。

大舞台でどこまで化けられるか。かつて選手として一気に駆け上がった頂点まで「残り二つ」に迫った。

土浦日大―八戸学院光星 6回表土浦日大2死満塁、太刀川が走者一掃の三塁打を放ち、5点差に突き放す=甲子園球場

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