梅の駅弁やお化け屋敷は? 無人駅に人を呼ぶアイデア、和歌山の中高生がJR西と協力

無人駅の活用についてアイデアを出し合う中高生とJR西日本社員ら(8日、和歌山県田辺市神子浜2丁目で)

 JR西日本と和歌山県紀南地方の中高生が協力して、田辺市内の二つの無人駅、芳養駅と紀伊新庄駅の活用を考える研修会が、田辺市神子浜2丁目の高垣工務店シリコンバーであった。駅を人が集まる場所にして、地域活性化につなげるのが狙い。JR西は中高生のアイデアを生かし、市に提案したいという。

 中高生が企業と交流しながら将来を考える研修事業「スタートライン」(若年層と地域産業の相互理解実行委員会主催)のプログラム。キャリアについて話を聞いたり、企業の事業課題解決のアイデアを考えたりする。

 人口減少や高速道路の延伸などで、鉄道の利用客は減少している。紀勢線新宮―白浜間の2019年度の輸送密度(1キロ当たりの1日平均利用者数)は1085人で、1987年度から73.7%減少した。コロナ禍で20、21年度はさらに落ち込んだ。

 この日の研修会では7人が3班に分かれ、経営者目線で鉄道の利用につながる無人駅の活用を議論。コンサートや展示会の開催、梅を使った駅弁の販売、学習室やワークスペースの設置、お化け屋敷の開設などさまざまなアイデアが飛び出した。

 田辺高校1年の谷地美紀さんは「普段、電車には乗らない。車内にネットカフェがあったり、映画が見られたりしたら乗るのが楽しくなるはず。列車やホームに愛称を付けるというアイデアもいい。グッと身近になる」と鉄道との接点を模索した。

 電車通学している田辺中学校3年の中田夕貴さんは「梅の種飛ばし大会を提案した。無人駅の利用には普通列車に乗ってもらう必要があるが、乗車時間が長くなる。梅を生かした駅弁を販売し、駅弁を食べながらイベントが開催される駅に向かう。そんな楽しみ方ができればいい」とビジョンを語った。

 JR西和歌山支社地域共生室の久木原嵩彬さん(26)は「短時間でたくさんのアイデアを出す発想力に驚いた。いかに形にするか知恵を絞りたい。駅がまちづくりの中心となり、地域に貢献するのが願い。その中で鉄道を利用する人も出てくればうれしい」と話した。

 和歌山支社管内では朝来駅(上富田町)が観光案内所になっていたり、周参見駅(すさみ町)がカフェメニューを提供していたりといった活用事例がある。

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