「70人が来てくれる」「取り残されてしまった」「後ろについて動きを確認する」【SF Mix Voices 第7戦予選(2)】

 8月19日、栃木県のモビリティリゾートもてぎで全日本スーパーフォーミュラ選手権2023年第7戦の予選が行われ、野尻智紀(TEAM MUGEN)がポールポジションを獲得した。

 予選後、全ドライバーが参加して行われる取材セッション“ミックスゾーン”から、土曜フリー走行と予選に挑んだドライバーたちの声を、2回に分けてお届けする(前編はこちら)。

■関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL) 予選5番手

 今シーズン、ここまでノーポイントの状態が続いている関口。今回は朝のフリー走行から上位につけ、予選Q1のAグループで1分33秒072をマークし2番手通過を果たした。続くQ2ではさらにタイムを上げていき、1分32秒237でトップから0.338秒差の5番手を獲得。今シーズンの最上位グリッドを手にした。

 しかし、セッション後の公式映像インタビューに答えた関口は「ポールの狙っていたので悔しい」と喜ぶ様子はなかった。実際にミックスゾーンでも今季最上位グリッドを獲得できたことに対しては「コメントが難しいですね……」と複雑な表情をみせた。

「今シーズン、自分がうまく走れなかったという感覚は一度もなかったです。うまくセッティングを決められれば……と、ずっと思っていました。ポールではないので微妙ですけど、トヨタ勢の中ではトップだったので、ここまでのことを考えると良かったのかなと思います」と関口。

 もてぎは以前からTEAM IMPULが強い印象で、昨年関口が制した第8戦もワンツーフィニッシュを飾っている。今年はSF23に車両が変わったが、関口の5番手に続き平川も7番手を獲得。満足できる順位ではないが、今季の同チームとしては上位につけている。

 その辺については「なぜ良くなったのかというのが分かっていない。今回もチームの方向性がたまたま合っているというだけ」と関口。確固たる手応えがあるかは、判断をつけづらい状況のようだ。

 関口は、7月8日に等々力陸上競技場で行われたJリーグ川崎フロンターレ対横浜FC戦でSF23“赤寅”でデモランを披露した。今回は約70名の川崎フロンターレサポーターが応援バスツアーで決勝日に来場を予定している。

「あのイベントから時間から少し時間が経ちましたけど、70人がサーキットに来てくれるというところにつながっているので、それは嬉しいですね」と笑みを見せた関口。決勝での活躍に期待がかかる。

2023スーパーフォーミュラ第7戦もてぎ 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)

■ラウル・ハイマン(B-Max Racing Team) 予選22番手

 初のモビリティリゾートもてぎの走行に臨んだハイマン。朝から苦戦している雰囲気があったが、予選Q1のAグループでは1分35秒263とタイムが伸びず、最下位に終わった。

 ライバルたちがQ1から1分32〜33秒台を記録していた中、遅れ幅が大きいのが気がかり。それについてハイマンは「最終コーナーでミスが出てしまって、それでコンマ3秒ほどロスした。ただ、根本的な問題はSUGOや富士の時の状態が続いている感じだ」と現状を語った。

「そもそものペースがない。普通にちゃんと走れていないという状態だ。それを直す原因を探り続けている。ダンパーの問題なのか、シャシーからきているものなのか……なかなか見つかっていない」

「バランスが特段に悪いと言うわけでもない。だけど、タイムを出すとこれだけの差が生まれる。オンボード映像で振り返ったり、他のクルマの後ろについて動きを確認するなど、できることはすべてやっているけど……打開策が見つかっていない」

 シーズン中盤は問題解決のために試行錯誤をしているようだが、目立った改善の兆しが見られないハイマン。「フラストレーションが溜まるし、難しいけど、とにかくベストを尽くすしかない」と悔しそうな表情を見せていた。

2023スーパーフォーミュラ第7戦もてぎ ラウル・ハイマン(B-Max Racing Team)

■国本雄資(Kids com Team KCMG) 予選19番手

 小林可夢偉と同様に、予選アタックに向かう際にピット出口付近で一時的にマシンを止める姿がみられた国本雄資(Kids com Team KCMG)。「パワステが効かなくなってしまって、一度止まってスイッチを入れ直しました。朝は特に問題なかったのですが、予選になっていきなりトラブルが出ました」と、小林同様のトラブルに悩まされていたことを明かした。

 再度スイッチを入れ直すなどの対応で症状が改善され、アタック自体はトラブルの影響等はなかったという国本。午前中のフリー走行では7番手につけていたこともあり、上位進出が期待されたが、Q1のBグループで10番手に終わった。

「予選になったら、周りがすごくタイムが上がっていて、自分だけ取り残されてしまいました」と肩を落とす国本。

「バランスがすごく悪くなったということはなかったのですけど、ちょっと上げきれなかったです。(Q2への)カットラインまでコンマ5秒くらいあったので、別次元のところにいる感じなので、ちょっといろいろ見直さないと行けないなという感じはしています」と国本。決勝に向けては「20番手からなので、特に考えることもなく、ひたすら追い上げられるように頑張りたいです」と意気込みを語っていた。

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