YU、日本での初オーディションを経てつかんだ“The・天才”役は「自信につながりました」――「何曜日に生まれたの」インタビュー

ABCテレビが4月から新設し、日曜午後10時の全国ネット連続ドラマ枠の第2弾として放送中のドラマ「何曜日に生まれたの」。脚本家・野島伸司さんが手掛けるオリジナル作品は、コモリビト(引きこもり)となってしまった主人公・黒目すい(飯豊まりえ)のもとに届いた高校時代の同窓会の招待状をきっかけに、サッカー部のムードメーカー・江田悠馬(井上祐貴)との再会など、少しずつ動きを見せ始めている。

しかし、それ以上に第2話で視聴者に衝撃を与えたのは、サッカー部のエース・雨宮純平(YU)の登場だろう。公文竜炎(溝端淳平)が「死んだ」と思っていた純平の颯爽とした登場シーンは、ファンのみならず、見る人をくぎ付けにさせた。

TVガイドwebでは、先日、江田悠馬を演じる井上祐貴さんのインタビューをお届けしたが、今週は雨宮純平を演じるYUさんのインタビューを届ける。純平を演じることにつながったオーディションは、YUさんにとっては日本での初のオーディション。その時のことを「緊張しました」と言葉にしながら、演じる純平の役作りの裏側を明かしてくれた。

――現在、撮影真っただ中とのことですが、撮影の雰囲気はいかがですか?

「めちゃくちゃいいですね。撮影でカットかかった時はみんなでおしゃべりをしてコミュニケーションをとっています。キャスト含め、スタッフさんも仲がいいです」

――今回演じられる純平はオーディションで決まったと伺いました。オーディションを振り返るといかがでしたか?

「日本で初めてのオーディションだったのでもちろん緊張はしたのですが、最初にオーディション用にいただいた台本が僕としてはめちゃくちゃ面白くて。自分が演じていても、ほかの方が演じているのを見ていても、すごく面白いというのが印象的でした。(オーディションの)手応えは正直分からなかったのですが、ちゃんとできたかなと思います。結構あっという間で、1回やったら何回か修正してもう1回やって、という感じでした」

――井上さんも「オーディションは異様な空気だった(笑)」とおっしゃっていました。いざ出演が決まった時はどんな気持ちでしたか?

「素直にうれしかったです。これが決まっていなかったら…台湾に戻っていたかもしれないので(笑)。引き続き日本で仕事ができることもめちゃくちゃうれしかったですし、日本で初めてのオーディションで役をつかみ取れたことも、自信につながりました」

――日本と台湾のオーディションでは、何か違いはあるのでしょうか?

「そうですね。台湾では2、3回オーディションを受けて、僕が最初に出演した「We Best Love 永遠の1位/2位の反撃」(WeTV)もオーディションで勝ち取ったのですが、今回のオーディションは目の前にたくさんの人がいらっしゃって、ちょっと威圧感があるといいますか(笑)。台湾では狭い部屋に数人で、ビデオカメラを置いて、みたいな感じでした」

――日本での1発目のオーディションでそれだけのプレッシャーがあると、緊張感も大きかったですか?

「緊張しましたね。だから、逆に何も考えないで(オーディションに)行きました。『あ、この人いる』となってしまうと、どこかおじけづいてしまうじゃないですか。あまり考えないようにはしていましたね」

――今回演じられる雨宮純平という役についてどのように捉えているか教えてください。

「“The・天才”で、俺様気質な役どころで、すごく特徴的な言葉の言い回しをする人という印象でした。天才だからこそ出てくるワードでもありますが、場の空気を読んだ、誰かを気遣ってるから出てくるワードを意識して演じています。監督と最初にお話させていただいた時に、純平のバックボーンやキャラクターが書かれたお手紙をいただきました。『純平はこういう生い立ちで、こういう過去を持っていて、だから“今の雨宮純平”があるんだよ』と、台本にはほとんど書かれていないバックボーンを深くお話していただきました。そこで純平が持っている“人とは違う雰囲気”にもつながっているのだと知って、役作りに生かしました」

――監督からの純平のお話を聞いて、スムーズに受け入れられる部分も多かったですか?

「純平という役は懐が深く、余裕があるように見えると思うんです。それは、たぶん高校時代から社会人になるにつれていろいろなことを経験し、自分の中で人生にちゃんと向き合ったから、今の寛大な純平がいるんだと感じていて。だから、後々その過去を乗り越える場面が出てくるのですが、そこも意識して純平という役を作り上げていきました。常人ではあまり理解できないようなことを考えているところも純平の魅力の一つなのかなと思っているのですが、僕とは正反対で、自信家でもないし、何でもできる天才でもないので。似ているところもたぶんないです(笑)。だから、大変な部分も多かったです」

――今回、高校時代のシーンでサッカーの撮影が多いとのことですが、撮影の感触はいかがでしょうか?

「やっぱり、やっているかやっていないかって画にして見た瞬間に分かるじゃないですか。最初からサッカーの練習は組まれていたのですが、『そこだけは絶対に頑張らないと』と思いながらフォームを意識して、いい映像が撮影できるようにというところは突き詰めました」

――クランクイン前には、井上さん、濱正悟さんの3人で練習をされたというお話も井上さんからも伺いました。そこで3人の距離もかなり縮まったのではないでしょうか?

「練習があるのとないのとでは全然違うので、そこでぎゅっと距離も近くなりましたね。正悟くんはすごくフランクで場の雰囲気を和ませてくれますし、井上くんも自分では人見知りと言っているけど、全然そんな気がしない(笑)。3人で本当の同級生のような感じでコミュニケーションを取りながらやっています」

――サッカーのシーンを含め、本作を手掛けられている野島伸司さんの脚本にはどんな印象を持たれましたか?

「一つ一つの言葉に意味があるんだろうなという印象で、そこを意識して台本を読ませていただきました。回を追うごとにその言葉の伏線が回収されていくのがすごく面白いです。僕の高校での登場シーン、社会人になっての登場シーンもすごく印象的ですね(笑)」

――社会人になってからは、純平は化粧品会社の常務という立場にもなり、悠馬とも意外な接点があるとか。そこに至るまでの10年間は台本には描かれていない空白の部分となりますが、どんな10年だったと捉えていますか?

「すいと事故に遭ってからの10年間、純平は自分のすべてを受け入れて乗り越えようと生きてきたのかなと思います。純平は周りにもちゃんと気が使えるし、何でもできてしまうから常務にもなっていて、少なからず悠馬との高校時代で培った関係性があったから、大人になっても仕事での関係が続いているのではないかと思います」

――ちなみに、今回“The・天才”の純平を演じることになりますが、YUさんがこれまで出会ってきた人の中で「この人天才だな」と感じた方はいらっしゃいますか?

「知り合いに、何があっても落ち込まない人が1人います。その知り合いが、いい意味でも悪い意味でも物事を楽観視できる人で、僕はその知り合いがある種の天才だなと感じた人です。僕がそうではないから余計にそう思うのですが、そういう人ってすごく人生が楽しそうに見えるじゃないですか。それってある意味才能で、天才だなと」

――一緒にいて影響を受けることもありますか?

「マイナスの言葉が全く出てこないので、すごくポジティブにはなりますね。そういう意味で周りの人に与えられるエネルギーというのも多くあると思います。普通とは違う、一種の信頼がありますね」

――最後に、今後のドラマの見どころ、純平の注目ポイントを教えてください。

「本当に毎話、毎話、続きが気になるようなストーリーになっているので、そこに注目していただきたいのと、野島さんの脚本は独特なセリフ回しがすごく魅力的だと思っているので、そこにも注目して見ていただきたいです。純平としては、俺様なだけにツッコミどころあるシーンも多いと思います、そういったところも注目してほしいです!」

――これまでの撮影シーンで一番ツッコミどころを感じたシーンはありますか?

「例えば第2話で言うと、フットサルコートにバイクで乗り込んできていますが『いやいや、何してんの純平…』となるじゃないですか(笑)。高校時代にバイクを駐輪場に止めるシーンがあり、すごく豪快で面白いなと思いました。僕自身はバイクを運転していないのですが、そのシーンを見ている時に『純平、あんな事故をしてしまったのにまだバイク乗っているの…?』みたいなことも話したりしていて(笑)。でも、そういう“好きなものに貪欲”というところも純平らしいです」

【プロフィール】

YU(ゆー)
1995年1月3日生まれ。愛知県出身。高校までを日本で過ごし、大学進学を機に台湾へと移住。2021年に放送された台湾の人気ドラマ「We Best Love 永遠の1位/2位の反撃」で俳優デビューし、その挿入歌も担当するなど、ミュージシャンとしても活動中。同年8月から日本で活動を開始。昨年、日本初のドラマ「祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録」(日本テレビ系)にも出演。日本楽曲3曲目となる「梅雨のち晴れ」が配信中!https://lnk.to/Sunshineafterrainydays

【番組情報】

「何曜日に生まれたの」
テレビ朝日系
日曜 午後10:00〜10:54
※放送終了後、TVer、ABEMAで最新話を見逃し配信
※TELASA、U-NEXTでは全話見逃し配信

取材・文/平川秋胡(ABCテレビ担当)

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