和田雅成主演 ミュージカル「ヴィンチェンツォ」上演中 悪党には悪で立ち向かえ!

スタジオドラゴンが手掛ける大ヒットドラマ『ヴィンチェンツォ』の世界初となるミュージカル化、大阪公演を経て東京公演が上演中だ。

主演はイタリアマフィアのコンシリエーレ(相談役)である弁護士ヴィンチェンツォ・カサノ役の和田雅成、ヴィンチェンツォと共に大胆不敵な復讐に挑む弁護士ホン・チャヨン役の富田鈴花(日向坂46)、ヴィンチェンツォ、チャヨンと対立するウサン法律事務所の主力弁護士であるチェ・ミョンヒ役の佐藤仁美など強力なキャスト陣が集まった。配信も用意されており、またBlu-rayの発売も決まっている。

ヴィンチェンツォ・カサノ(和田雅成)は組織の裏切りで韓国に来ることになったが、冒頭で自分が韓国にやってきた理由を説明するのだが、このテンポ感、スピーディーで、開幕から15分ぐらいで、おおよその設定がわかる。ドラマを知っていれば、ここは先刻承知であるが、ドラマを知らなくても、これから展開される物語の背景を簡単に押さえることができる。彼は5年ぶりに韓国に。ヴィンチェンツォが向かった先は古い雑居ビルの「クムガプラザ」。

5年前に中国の大富豪から依頼されて、この雑居ビル「クムガプラザ」の地下に15トンの金塊を隠していた。ビルオーナーのチョ社長(高原紳輔)とビジネスパートナーを組み、再開発を口実にビルを取り壊し金塊を持ち出そうと計画するも、再開発反対の先頭に立つ会長のホン弁護士(鈴木壮麻)がビルの3階にいて、おまけに住人たちもクセ者ばかり。さらに金塊が隠してある地下の上の階はお寺が入り、僧侶の下に金塊が眠っている(笑)。さらに、そのくだんの大富豪は1年前に他界、金塊のことを知っているのはヴィンチェンツォとチョの2人だけ。

一方、ホン弁護士の娘で韓国最大手弁護士事務所「ウサン」に所属するホン・チャヨン(富田鈴花)は、インターンのチャン・ジュヌ(上田堪大)と共に「バベル製薬」側の弁護を務め、父であるホン弁護士に対立する立場に。そんな中、一帯を地上げしている財閥のバベルグループが荒っぽい手段を使ってビルを買収しようとし、チョ社長は脅迫されて契約書にサインをしてしまう。財閥のバベルグループと癒着しているのが「ウサン」。

ホン弁護士の事務所名は「藁法律事務所」。ホンは「バベル製薬」の不正を暴こうとしていたので、娘とは対立関係に、父と娘の間はギクシャク。ホン弁護士はバベルグループの「バベル製薬」の事件を知っており、その本質もわかっていた。バベルの悪事を暴きたいヴィンチェンツォ、不可解な事件、研究員が殺される、彼はホン弁護士と連絡をとっていたから。同じ頃、居酒屋で飲んでいたヴィンチェンツォとホン、そこへトラックが突っ込んで!ホンは事故死、ヴィンチェンツォは奇跡的に助かった。ヴィンチェンツォからホン弁護士の死に「バベル製薬」が関係しているかもしれないことを聞かされたチャヨンは、「ウサン」を辞めることに。そして、父の事務所を継いだチャヨンは、ヴィンチェンツォと一緒に「バベル製薬」の不正を暴こうと決意する、というのが大体の流れ。

ストレートプレイではなく、ミュージカル化したことによって20話にも及ぶストーリーを3時間半に凝縮、舞台転換もスムーズで、淀むことなく物語が進んでいく。ヴィンチェンツォ・カサノ役の和田雅成はじめ、皆、キャラクターにピッタリな配役。チャン・ジュヌ役の上田堪大、途中で「え?!」という実体(かなりのサイコパス)が明らかになるが、その落差に注目。また、コロナ禍の時は行われなかった客席通路を使う演出を随所に取り入れ、客いじりするシーンもあり、特に最前列は『覚悟』の程を。特に2幕は怒涛の展開だが、長い物語を効率的に省略するところは思い切って、そしてしっかり見せたい場面はじっくり、のメリハリの効いた構成。ホン・ユチャン役の鈴木壮麻、元劇団四季出身、歌は流石、1幕では堅物で人間味あふれるホン・ユチャンを、2幕では…ここはお楽しみ、落差激しく、ベテランらしく、しっかりと真逆な人物を演じ、チェ・ミョンヒ役の佐藤仁美、チェは見た目は優しい小柄な普通の中年女性だが、実はモンスター、コインランドリーのシーンはしっかりあるので!チェ・ミョンヒはズンバ大好き、でも意地悪で悪どい、この二面性のある役どころを的確に、またミュージカル出演歴も多く、歌唱シーンは注目。ホン・チャヨン役の富田鈴花はちょっとお茶目な感じで、チャン・ハンソ役の竹内將人、後半の衝撃の場面は涙。これだけの”激しい”内容のドラマでキリキリ、ドキドキ、衝撃的なシーンやアクションシーンも多いのだが、時折、笑ってしまう場面もあり、コメディっぽいところもあるので、そういった落差も大いに楽しみたいが、この作品の最大の特徴であり、魅力は主人公・ヴィンチェンツォ、イタリアマフィアのコンシリエーレ、だから、悪には悪で立ち向かう、正義のヒーローではない点。

それでも共感しつつ観てしまう魅力的キャラ。また、描かれている”社会”もまた、ありそうな空気感。ミュージカル化発表の時はかなり衝撃的だったが、実際に観るとミュージカルと相性がいいことがわかる。ドラマファンもそうでない方も百聞は一見にしかず。配信もあるので、ぜひチェックして欲しい作品だ。

<演出:吉谷晃太朗インタビュー>

概要
タイトル ミュージカル「ヴィンチェンツォ」
原作 ヴィンチェンツォ(製作:スタジオドラゴン 脚本:パク・ジェボム)
企画・プロデュース エイベックス・ピクチャーズ
企画協力 スタジオドラゴン
日程・会場:
兵庫:2023年8月11日(金・祝)~13日(日) AiiA 2.5 Theater Kobe
東京:2023年8月18日(金)~21日(月) 日本青年館ホール
大阪:2023年8月25日(金)~27日(日) サンケイホールブリーゼ
出演
ヴィンチェンツォ・カサノ:和田雅成
ホン・チャヨン:富田鈴花
チャン・ジュヌ:上田堪大
チャン・ハンソ:竹内將人
ハン・スンヒョク:松井工(体調不良のため休演)
チョ・ヨンウン:高原紳輔
ナム・ジュソン:伊藤裕一
ソ・ミリ:中野郁海
チャン・ヨンジン:柴崎咲子
キム・ヨンホ:古川雅達
チェシン:高山裕生
レリー・カン:伊東征哉
パク・ソクド:小林遼介
★他のプラザファミリーであるイ・チョルウク、トト、タク・ホンシク、クァク・ヒス、チョクハを
オ・ギョンジャ:白木原しのぶ
アン・ギソク:西川大貴
ホン・ユチャン:鈴木壮麻
チェ・ミョンヒ:佐藤仁美 ほか
スタッフ
脚本/作詞:三浦香
演出:吉谷晃太朗
ミュージカル楽曲:tak
歌唱指導:市川祐子
振付:藤林美沙
殺陣:六本木康弘
美術:久保田悠人
照明:高橋朋也 (東京三光)
音響:カムストック
衣裳:桃木春香
ヘアメイク:西村裕司
キャスティング:霞麻衣子(株式会社FAB)
演出助手:日高信乃
舞台監督:大友圭一郎 清水浩志
制作協力:シザーブリッツ
制作プロデューサー:トウツイジ(株式会社FAB)
制作:株式会社FAB
宣伝美術:五島英一
宣伝写真:後藤倫人、映美
宣伝映像:吉田ハレラマ
宣伝:長屋圭井子、瀧本有美、佐々木千聖
アシスタントプロデューサー:中島初実、シン・ドーン
プロデューサー:菅原大樹
エグゼクティブプロデューサー:前野展啓
主催:ミュージカル「ヴィンチェンツォ」製作委員会

公演問合:03-6280-4670

公式サイト:https://vincenzo-musical.jp/

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