8月19日（土）、タイとラオスを舞台に今月13日（日）から7日間の日程で開催されたAXCRアジアクロスカントリーラリー2023が閉幕した。優勝は既報のとおり、105号車トヨタ・フォーチュナーをドライブした元GPライダーの青木拓磨。新型ミツビシ・トライトンで2023年大会に臨んだチーム三菱ラリーアートは、大会2連覇を目指したチャヤポン・ヨーター／ピーラポン・ソムバットウォン組がライバル陣営に次ぐ総合3位を獲得した。
チームメイトの日本人ペア、田口勝彦／保井隆宏組は総合8位で初参戦となったAXCRをフィニッシュ。リファット・サンガー／シューポン・シャイワン組も総合32位で完走を果たし、1トンピックアップトラックの新型トライトンで今大会に挑んだミツビシチームは“チーム賞”を受賞している。
■新型トライトンは「ハンドリングも良く、乗りやすい」と田口勝彦
タイのタント・スポーツが運営、日本の三菱自動車が技術支援を行う“チーム三菱ラリーアート”の戦いは、いよいよ競技最終日のレグ6を迎えた。この日も前日と同様にラオスのパクセーを拠点とするループステージが組まれたが、SS6（セレクティブセクション6）の全長は51.96kmと短くこの中でのポジションアップは容易ではない。
また、序盤にSS4の後半部分とルートを共有するステージにはハイスピードセクションや集落を通過する区間があり、短いながらも難易度は他のステージと変わらず。最後まで油断のできない一日となった。
ラオス入りした競技4日目に総合4番手から3番手に順位を上げて以来、同ポジションをキープしてきたヨーターは、最後のSSを3番手のポジションを守ることを優先した慎重なドライビングで駆け抜け、ステージ7番手タイムでフィニッシュ。この結果、総合3位を獲得し、このラリーがデビュー戦となった新型『ミツビシ・トライトン』に初の表彰台をもたらした。
前日にトップ10圏内に戻ってきた田口は、SS6の早い段階で前を行くライバルに追いついたものの、オーバーテイクのチャンスが訪れず前車に続いてのフィニッシュに。それでも陣営最上位となるステージ5番手タイムをマーク。上位でストップした車両があったため、順位をひとつ上げ総合8位でラリーを完走した。
シリーズタイトルを獲得したアジアパシフィックラリーをはじめ、WRC世界ラリー選手権や全日本ダートトライアル選手権などで豊富な経験を持つ田口だが、クロスカントリーラリーは今大会が人生初の挑戦となった。AXCRを戦い抜いた彼は「クルマの乗り方、ペースノートのない道の走り方などは、実際に走ってみると問題ありませんでした」とコメント。新型トライトンについては「非常に頑丈で、ハンドリングも良く乗りやすいですね」と振り返った。
■また次に向けて大きな目標ができた
前日に行われたSS5でステージベストタイムを刻む圧巻のスピードを見せたサンガーは、この日は完走ペースに切り替えての走行に徹した。今年で2度目のAXCR参戦となったインドネシア人ドライバーは、リスクを冒すことなくSS22番手タイムで最終ステージを走破。総合32位でラリーを終えている。
3台全車が無事に完走を果たしたチーム三菱ラリーアートは、2台以上のエントリーですべての車両が完走し、うち上位2台の合計タイムで争われる“チーム賞”を受賞。厳しいラリーを走り切ることで新型ミツビシ・トライトンの堅牢性と信頼性の高さを証明した。チームは今回の参戦で得られたデータを詳細に解析し、今後の開発につなげていくとしている。
■ラリー後コメント
●チャヤポン・ヨーター（101号車ミツビシ・トライトン／総合3位）
「全体的に今年の路面コンディションは非常に厳しかった。それでもすべてのSSを走り切ることができたし、チームのおかげで、お互いに助け合い、フィニッシュラインを通過することができた」
「もちろん、もっと上位を目指していたし、自分たちのベストポジションに復帰する、つまり優勝してトロフィーを獲得したかった」
「トライトンの全体的なパフォーマンスやドライバビリティは、言うまでもなく昨年よりも向上していた。エンジン、サスペンション、フレームなど、全方位的に改善されたという印象だ。来年はもっと強くなって、ふたたび挑戦したいと思う」
●増岡浩 チーム三菱ラリーアート総監督
「今年は想像以上に厳しい戦いだったと思います。とくに前半は入り組んだ複雑なコースで、苦しんだ部分もありました。後半は徐々にペースを取り戻し、チャヤポン（・ヨーター）選手も順位を上げることができ、最終的に総合3位という結果を得ることができました」
「もちろん悔しさはありますが、この結果は必ず我々の糧となりますし、多くのデータを収集することができました。短期間でラリーの準備をしてくれたチームのメンバーには本当に感謝しています」
「また、今回のタフなラリーで新型『トライトン』3台すべてが完走を果たしたことで、耐久性やハンドリングの良さをあらためて実感できました。世界で発売するクルマとして、自信を持って皆さまにおすすめできる完成度と言えるでしょう」
「多くの方々からのご支援とご声援、我々チームのスポンサーをしていただいている協賛会社の方々、たくさんの応援を本当にありがとうございました。この経験を今後に活かし、さらに躍進したいと思っています」
