謎の陵墓群、精密に測量 古代の「空白」解明期待、奈良

奈良市で行われた佐紀古墳群の航空レーザー測量=2月(村瀬陸さん提供)

 古墳時代の4~5世紀の陵墓が集まる佐紀古墳群(奈良市)の精密な測量図が完成し、考古学研究者らが20日発表した。これまで一部の測量図しかなく謎の多い古墳群だったが、クラウドファンディング(CF)による資金調達で上空から測量した。研究者は大和政権の勢力が拡大した「空白の4世紀」の解明につなげたいと期待する。

 測量したのは奈良市埋蔵文化財調査センターの村瀬陸さん(32)と、古墳の設計を研究する奈良文化財研究所の柴原聡一郎さん(28)。個人研究のため資金はCFで募った。

 佐紀古墳群は佐紀陵山や佐紀石塚山、宝来山など4~5世紀の大型前方後円墳が集まるが、多くは宮内庁が陵墓として管理するため立ち入りができず、2月に航空レーザー測量を実施した。この時代は大和政権の勢力が拡大するが、中国や朝鮮半島の文献に日本の記録がほとんど存在せず「空白の4世紀」と呼ばれ、実態は謎に包まれている。

 今回は初めて古墳群全体の精密な測量図が得られたほか、佐紀石塚山の造り出し部が段を持つ特異な構造とみられることも判明した。

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