国天然記念物ケナガネズミ 外来種捕獲シートに絡まり衰弱 点滴などで無事回復、野生復帰へ 奄美

市街地で保護されたケナガネズミ=18日、奄美市名瀬

 誤って混獲され、衰弱した国指定天然記念物ケナガネズミと、けがをした渡り鳥リュウキュウアカショウビンが鹿児島県奄美市名瀬の「ゆいの島動物病院」で、保護されている。ケナガネズミは22日ごろ、山に帰す予定。アカショウビンは飛べない可能性が高く、今後市内で施設を設けて飼育展示できないか検討する。

 ケナガネズミは9日、同市名瀬の工事現場で外来種のクマネズミを捕獲するための粘着シートに絡まっていた。絶食で衰弱していたため、動物病院でとりもちを取り除き、点滴するなどの治療をした。

 環境省によると、昨年は餌となる木の実が豊作だったため、個体数が増加しているとみられる。市街地で目撃が相次ぎ、誤って捕獲したり、車でひいたりしないよう注意を呼びかける。

 アカショウビンは瀬戸内町加計呂麻島の薩川の民家で羽が曲がった状態で見つかった。左翼を損傷し、テープで固定して治療中。車にひかれた可能性もあるという。

 獣医師の新屋惣さん(30)は「直線的に飛行し道路を突然横切ることもあるので運転に注意が必要。今後展示して、少しでも保護に向けた啓発に役立ってほしい」と話した。

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