神奈川県公報、来年1月から電子化へ 発行部数25年前の10分の1に 紙の配架、保存は継続

印刷所から届いた神奈川県公報の発送作業に当たる県職員=18日午前、県庁

 県は、県政情報を掲載して周知する印刷物の「神奈川県公報」を来年1月から電子化する。インターネットの普及などで発行部数は25年前の10分の1に減っており、規則を改正して電子の公報を「正本」に位置付け、発送業務などの削減を図る。配架や保存用に紙の公報を用意するとしているが、1世紀以上続く発行の歴史の中での「転換点」(担当者)になるという。

 県公報は県の条例や規則を公布する手段などとして、県が原則毎週火曜と金曜に発行している刊行物。1887(明治20)年3月1日に初めて発行された。県庁内の県政情報センターに配架されているほか、県内の市町村や図書館、県議などの関係先に発送。個人も1部単位での購入や月2930円で定期購読できる。

 記録が残る約30年の間では、1998年度は約1800部を発行し、約260部が有償で定期購読されていた。「かつては県政の情報を得るツールが紙の公報しかなかった」(担当者)が、補助的な情報提供として2004年度から県のホームページ(HP)での掲載が始まると、定期購読者は減少。発送先も見直した結果、現在の発行部数は約180部で有償の定期購読は4部にとどまる。入札に関する電子システムが05年度に整備される前は、入札情報を確認したい企業の購読が多かったという。

 県によると、全国では21年度時点で20道府県が条例や規則で公報の電子発行を位置付けている。国の官報も電子化の検討が進められていることから、県も電子化に踏み切る。

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