門前高ソフト部再始動 2年ぶり、地元5人入部 

門前高女子ソフトボール部に入った1年生5人。10月に新人大会を控える=門前高

 女子ソフトボールの全国屈指の強豪としてその名が知られた門前高に、再び白球を追う女子生徒の姿が戻ってきた。半世紀にわたって指揮を執った室谷妙子さんの勇退に伴い、2021年の県大会を最後に休部していたが、今春1年生5人が入り活動を再開。10月の新人大会に他校との合同チームで出場することが決まった。2年ぶりの公式戦を控え、猛暑に負けず練習に励む5人に、住民も名門復活と地元の活性化に期待を寄せる。

  ●10月公式戦

 きれいに整備された同校のグラウンドに「お願いしまーす」とノックを求める元気な声が響く。教諭で自身も女子ソフトのインターハイ出場経験がある横山鼓(とも)子監督(46)の指導を受けるのは、小幡聖奈さん、升本空美さん、中村知代さん、畑山真奈花さん、濵崎咲桜さんの5人だ。

  ●名門復活「自分たちが入れば」

 いずれも地元の輪島市門前中卒業生で中学時代からソフトボールに打ち込んできた。女子ソフト部が休部したことは知っていたものの、「自分たちが入れば再開できる」と迷わず門前高への進学を選んだという。キャプテンの小幡さんは「人数が少なくて大変なことは多いが、競技を続けられてうれしい」と笑顔を見せる。

 門前高女子ソフト部は、1971(昭和46)年からOGである室谷さんが率いると全国大会の常連に。全国高校選抜で準優勝2回、インターハイで3位に入るなど輝かしい成績を残し、五輪代表選手も輩出した。

 ただ、室谷さんが2020年8月に総監督を退任。その後、飯田高との合同チームで出場した21年6月の県大会で3年生が引退すると部員がいなくなった。

 旧門前町時代からソフトボールの町として、「門前」の名前を全国に広めてきた部の活動休止に、住民からは惜しむ声が上がっていた。待望の新入部員5人による再始動に卒業生たちは「やっぱりモンコウ(門前高)にソフト部がないと。地域も元気になる」と喜ぶ。

 強豪だっただけに、バックネットに簡易式の外野フェンス、ピッチング練習場、ナイター照明と設備は充実している。横山監督は「室谷先生や多くの先輩たちが尽力されてきたからこそ、この素晴らしい環境で練習できる」と話す。休日にはOGが駆け付け、新たな後輩たちの指導に汗を流す。

 飯田、金沢西との合同チームで挑む新人大会を控え、小幡さんは「感謝の気持ちを持って試合に臨みたい」と意気込んでいる。

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