ボラの音、唄声、かけ声… 会場一体、7000人熱気あふれ 与那原大綱曳 「本来の姿で開催、うれしい」

4年ぶりに制限のない形で開催した与那原大綱曳。会場の御殿山青少年広場には、例年以上の約7千人が集まった。昨年は感染防止のため人数を制限し、声を出さずに行われたが、今回は道ジュネーから沿道は多くの人でにぎわい、ボラの音、唄声や掛け声が響いた。

 仲間たちを鼓舞し勝利へ勢いづけるガーエーで見せ場をつくる旗頭。東の持ち手、久場政尚さん(42)は「昨年は旗が1本しかなかったが、今回は通常通り2本ある。きょうは腕や足、指先がつっても一生懸命持つ」と大粒の汗を流しながら旗を抱えた。女性たちが踊る「前舞(めーもー)い」で、西の世話人を務める幸地朋子さん(51)も「今年は唄も歌える。本来の姿でできるのがうれしい。400年の歴史をしっかりつないでいきたい」と気合を入れた。

 綱の上に乗り登場する支度は毎年主題が変わる。今回は1回目の勝負が「聞得大君」。東の綱に琉球国王、西の綱に聞得大君らが豪華な衣装をまとい乗った。2回目は「モーイ親方の物語」で、東にモーイ親方、西に島津公らが乗った。

 勝利した東側の佐藤直樹さん(47)は生まれも育ちも与那原町だ。「地域を代表して参加した。東が勝ってうれしいが、それ以上に綱曳が成功したことがうれしい」とかみしめた。西側を曳いた渋谷静香さん(34)=那覇市=は4月に移住してきた。「迫力がすごい。手が痛くなるくらい頑張った」と真っ赤になった手をなでた。

 与那原大綱曳実行委員会事務局長の徳村周作さん(49)は「綱作りの期間に台風が来たが、参加してくれた町民たちがいて完成を間に合わせることができた。町民の思いの強さを感じた」と振り返り、「町内外から多くの人が足を運んでくれた。関わってくれた人たちに感謝したい」と喜んだ。 (岩崎みどり)

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