アルティーリ千葉2023-24シーズンが公開練習で本格始動 - 大塚裕土「悔しさをエナジーに代えて、勝つ」

昨シーズンのB2で最高勝率(47勝13敗、勝率.783)を収め東地区チャンピオンとなったアルティーリ千葉が、8月19日にゴールドジム幕張ベイパークアリーナでオフィシャルファンクラブ限定の公開練習を実施。クラブ創設3シーズン目となる2023-24シーズンの本格スタートを切った。

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この日はプレーオフ・セミファイナルGAME1で悲運の負傷離脱となったレオ・ライオンズの姿こそなかったが、前田怜緒、アレックス・デイビス、熊谷尚也、デレク・パードンの4人の新戦力を含む今シーズンのメンバーが軽快な動きを披露。大塚裕土や岡田優介らシューター、さらには今シーズン活躍の幅の拡大が期待されるビッグマン鶴田美優士の3Pショットなどが決まるたびに、約250人のファンが歓声を上げていた。

正味約90分間の公開練習を締めくくるフルコートのツーメン・ブレイクの練習では、コート上を駆け巡るプレーヤーをファンも万雷のクラップで後押し。クラブと地域が一体となった雰囲気も生み出されていた。

練習終了後、アンドレ・レマニスHCはファンに向けて、「このチームは皆さんのチームです。ぜひ足を運んで、応援して、楽しんでください。私たちの目標は、皆さんに誇りに思って応援していただけるようなチームを作ることです(Bottom line is this is your team. Come out and support it, enjoy it. Our goal is to give you a team that you can be proud of being associated with.)」と新チームへの応援を呼びかけた。「今シーズン、皆さんと一緒にB1にたどり着く旅を続けていくことを楽しみにしています(I would look forward to the season ahead with all of you as we continue this journey to get to B1.)」

ファンが誇りに思えるチームとして、結果を伴わせるため遂行した補強にはどのような意図があったのか。囲み取材でレマニスHCは、これまでよりも少し大きく、かつ高い運動能力を持つスピードにあふれた集団への進化を目指していることを明かしている。スイングマンの前田は身長191cm、スモールフォワードの熊谷は195cmで、いずれもB1での経験値という点でも頼りになる存在。身長206cmのデイビスは秋田ノーザンハピネッツ時代に2年連続ブロック王に輝いたリム・プロテクターであり、203cmの長身ながら敏捷性にも長けたビッグマンのパードンは、NCAAのハイメジャー・カンファレンスの一つであるビッグテンに所属するノースウエスタン大で、フィールドゴール成功率歴代1位という堅実なプレーヤーだ。

木田貴明のディフェンスに果敢にアタックを仕掛ける前田怜緒(写真/©月刊バスケットボールWEB)

熊谷尚也も切れ味の鋭いドリブルドライブをたびたび繰り出していた(左は鶴田美優士 写真/©月刊バスケットボールWEB)

アレックス・デイビスはアンドレ・レマニスHCが「これまでウチにいなかったタイプのアスリート」と期待する存在だ(写真/©月刊バスケットボールWEB)

Bリーグに今シーズン初めてやってきたデレク・パードンも、軽快な動きから豪快なダンクを披露(写真/©月刊バスケットボールWEB)

レマニスHCによれば、昨シーズンPPP(Points Per Possession=一度のオフェンスで獲得される得点数の平均値)がリーグトップであったが、「ディフェンス面で改善すべき部分があると感じている(Defensive side of the ball is where I see us having an area to improve.)」のだという。「新たに加わった(個々のプレーヤーの身体的な)“長さ”と運動能力で、ディフェンス面で一歩前進したいですね (I think with the length and athleticism that we’ve added to the team, hopefully we can make that step on the defensive of the ball this season.)」

厳しい表情で練習を見守るアンドレ・レマニスHCだが、久しぶりに日本のファンやメディアに囲まれて、明るい笑顔を見せる瞬間も多かった(写真/©月刊バスケットボールWEB)

サイズと運動能力をバランスよく提供するタレントが増えたアルティーリ千葉。それがコート上で、レマニスHCの期待するような成果に結びつくかどうかは、2023-24シーズンの見どころだろう。

アルティーリ千葉は昨シーズン、ライバルチームの長崎ヴェルカとのプレーオフ・セミファイナルを1勝2敗で落として「最短でのB1昇格」という目標達成を逃した。2023-24シーズンは、レギュラーシーズンに好成績を残すことはもちろん、プレーオフまで勝ち切って念願のB1昇格を果たすという強い決意を持って臨む。開幕初戦は10月7日(土)・8日(日)に千葉ポートアリーナで開催されるバンビシャス奈良との2連戦。また、その前にアウェイでのプレシーズンゲームが2試合発表されている(9月10日[日]@川崎ブレイブサンダース[川崎市とどろきアリーナ]、18日(月・祝)@横浜エクセレンス[横浜武道館])。

\--{大塚裕土「もはやB1.5みたいな感じ」}--

☆公開練習後コメント

大塚裕土

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――3シーズン目を迎えるにあたってのクラブの成長について

着実にファンが増えているなというのを感じていますし、今年もたくさんのファンが会場に来てくれると期待しています。フロントスタッフが頑張ってくれている中で、選手たちがやるべきことをやってアルティーリ千葉の魅力をコートで表現できれば、昨シーズンの終わりに新居佳英オーナーが言っていた新B1基準をクリアする平均4,000人の集客達成に近づいていけると思います。まずはレギュラーシーズンで一番の勝ち星を挙げて、たくさん面白い試合を皆さんにお見せできるよう頑張ります。

――B2の2023-24シーズン展望

他のチームの選手と話していても、「B1.5」というような感じ。非常にレベルが上がっていますね。B1から降格してきたクラブは、すぐに上がりたいという気持ちも強いでしょう。日本代表が所属するクラブもあります。

でも、アルティーリ千葉のバスケットボールをしっかりできれば間違いなく勝てると思います。B2のカテゴリーでは自分たちが昨シーズン一番B1に近づいたクラブだったと思いますし、一番悔しい気持ちを持っているので、それをエナジーに代えてパフォーマンスを出していければ勝てる。個人的に、有名選手がいるチームを倒すことで得られるものも大きいと思うので、「やってやるぞ!」という気持ちが強いです。

杉本 慶

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――B2の2023-24シーズン展望

Bリーグ全体としてレベルが上がるにつれて、B2もレベルが上がってきたなと思います。でも、名のある選手がいるからそのチームが“やばい”となるのではなく、自分たちは自分たちの、アルティーリ千葉のバスケットボールを60試合戦って白星を積んだ結果がプレーオフ、B1昇格への道。相手チームのことを気にし始めるとうまくいかなくなると思います。それを考えているうちに別のチームに足元をすくわれるというのは、昨シーズンも何度かありました。全チームが強敵。どこに対しても挑戦者のつもりで、自分たちがやるべきことをやるのが大事です。

――個人的に改善したい部分

昨シーズンは何度か欠場しているので、60試合しっかりフルに出場するというのが目標です。また、ポイントガードとしてもう少しチームをまとめられるようにという意味で、これまではリーダーシップの部分では大塚選手や岡田(優介)選手、小林(大祐)選手など先輩方にお願いしている部分が多いので、少しでも自分で背負っていけるように頑張ってみたいと思います。

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