業績の善し悪しで明暗が分かれた第1四半期決算発表後の相場展開を振り返る

7月下旬から続いていた3月期決算の企業による第1四半期の決算発表が、8月14日(月)に終了しました。日本には3月期決算の銘柄が約2,500社あります。決算発表は1年に4回、3ヵ月毎に行われ、第2四半期は10月下旬から11月中旬、第3四半期は1月下旬から2月中旬、通期決算は4月下旬から5月中旬の発表となっています。

決算発表期間中、多い日には1日に数百社もの内容を読むので、決算発表の時期は日を追うごとに眼精疲労が酷くなります。


ストップ安が多かった相場展開

今回の決算発表後の相場展開は、業績の善し悪しではっきりと分かれた感じです。業績がアップした企業は軒並み株価が上昇、一方で業績が振るわなかった企業はストップ安まで売られるなど、いつに無く激しい様相を呈しています。特に8月15日(火)はストップ安した銘柄が27社もあり、これ程までに多いのは非常に珍しい事です。

ところで、ストップ安とはどんな状況でしょうか? これから株式投資を始めようと思っている方には特にご理解いただいておいた方が良い事柄です。

ストップ安とは、前日の終値に対して値幅制限いっぱいまで株価が下がることをいいます。制限値幅とは、例えば2,000円以上3,000円未満の株であれば、制限値幅 は500円と決まっていて、前日の終値が2,500円でしたら、ストップ安は500円安の2,000円で、ストップ高は500円高の3,000円となります。

この様に、ある価格によって1日のうちで上下する株価の幅があらかじめ東京証券取引所で決められています。株価が、設定されている値幅まで上昇すると「ストップ高」、反対に設定されている値幅まで下落すると「ストップ安」となります。

株式売買をする時には、制限値幅を意識した上で注文を出す必要がある為、基準値段の制限値幅は知っておくとよいでしょう。詳細は、東京証券取引所ウェブサイトをご確認ください。

ストップ安・ストップ高の効果

ちなみにストップ安の連続記録は、2000年3月31日(金)~4月27日(木)までの20営業日を継続した光通信です。

当時、私は証券ディーラーをしていたので、この事には沢山の思い出があります。結果的に私は巻き込まれずに済んだのですが、株式相場に関わっている人たちにとっては運命を大きく左右するような、肝を冷やす出来事でした。

少し話しが逸れましたが、一般的にはストップ安、ストップ高のお陰で、株価の異常な値動きを抑制することができます。恐怖感や過熱感を遠ざけパニック売りなどを避ける事で冷静さを取り戻し、株価をある程度、正常に保つ効果があります。

このストップ安、ストップ高というルールは米国市場には無く、代わりにサーキットブレーカーという制度があります。一時的に株取引を中断し、相場の過熱感を冷まし、パニック売りを避ける作用を謳っている点は日本のストップ安、ストップ高のルールと似ています。

日本市場では、2020年8月から値幅拡大ルールの変更がありました。東京証券取引所は以下の場合に、これまで3営業日連続ストップ高、ストップ安としていた連続日数を、2営業日連続へと変更し、制限値幅の拡大幅を2倍から4倍へと変更する事を決定しました。

(1)ストップ高・安となり、かつ、ストップ配分も行われず売買高が0株
(2)売買高が0株のまま午後立会終了を迎え、午後立会終了時に限りストップ高・安で売買が成立し、かつ、ストップ高・安に買(売)呼値の残数あり

東証は変更理由として「円滑な売買成立及び速やかな価格発見に対する投資者のニーズが一層高まっている」ためとしています。

冒頭でお伝えした通り、今回の決算発表時においてストップ高安が非常に多くなった事で、値幅拡大銘柄が通常は1ヵ月に1〜2銘柄程度のところ、8月17日(木)には6銘柄が該当する異常事態となりました。

今回はストップ高、ストップ安や値幅拡大ルールなどを説明しましたが、それ以外にも知っておいて損はないルールが沢山あります。折を見てまたこの様な情報を記事にしたいと思います。

© 株式会社マネーフォワード