大阪中心部ビルは賃料低下が需要下支え―コリアーズ、2Qに供給なく空室埋まる

(提供:日刊不動産経済通信)コリアーズ・インターナショナル・ジャパンは、大阪市中心部における第2四半期(2Q、4~6月期)のA級オフィスビルの需給動向をまとめた。空室率は4・4%(1~3月期比0・3㌽減)、平均想定成約賃料は坪当たり1万7200円(1・7%減)だった。低下傾向の賃料によって空室の埋め戻しがあった模様。一方、今年後半から24年にかけて新規供給が増えるため、空室率は上向くと見込んでいる。

大阪市の今後のオフィス需給について、リサーチ責任者の川井康平氏は、「東京都内に比べてコロナ禍以降の働き方の変化が弱いため、空室率が上昇傾向になる可能性が東京よりも高い」と展望する。2Qのネットアブソープション(吸収需要)は7400坪と弱含んだがプラスを維持して空室率が低下した。市況が軟調で推移していく可能性を折り込み、24年までに賃料は年平均2・2%減少し、空室率は年平均1・0㌽増加すると予想する。大阪市中心部では23年4Qに2万坪超の供給が予定される。24年は通年の供給量が6万坪を超え、過去5年間で最多となる見込みだ。一方で、需要の多くは既存物件からの移転が占める公算が大きく、二次空室発生による需給の緩みから、市況が変化する可能性があると川井氏は指摘している。

23年2Qの主要エリアの動向をみると、梅田駅周辺エリアの空室率は3・5%へ小幅に低下して、賃料が2万3200円に下落した。24年以降は「グラングリーン大阪」や「JPタワー大阪」などの開業を控えるほか、同じく御堂筋沿いの淀屋橋エリアや本町エリアにも供給が続くことから、今後の賃料水準に響く可能性を織り込んでいる。

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