野口雨情の未発表詩披露 茨城・水戸で生誕140周年コンサート 孫・不二子さん朗読も

野口雨情生誕140周年記念コンサートで童謡「しゃぼん玉」を歌う森田妃加允さん(中央)=水戸市千波町

茨城県北茨城市出身の童謡詩人、野口雨情の「生誕140周年記念コンサート」が20日、同県水戸市千波町のザ・ヒロサワ・シティ会館(県民文化センター)で開かれ、水戸市出身のソプラノ歌手、森田妃加允(ひかる)さんや、雨情生家・資料館館長で孫の野口不二子さんらが出演。代表曲の「しゃぼん玉」や「七つの子」など15曲を披露したほか、演奏の合間に不二子さんが詩を朗読し、390人の聴衆が耳を傾けた。

コンサートには2人のほか、ピアニストの池沢由香子さんが出演した。「赤い靴」や「十五夜お月さん」など親しみのある童謡が伸びやかな歌声で披露され、朗読では未発表だった詩「東亜の海」が会場で初めて公開された。

不二子さんによると、雨情は第2次世界大戦中、軍歌の制作を命令されたが「戦争に加担したくない」と発表しなかったという。「東亜の海」は1944年、病を患いながらも鹿児島・知覧に赴き、特攻隊の青年たちに思いをはせて密かにしたためた詩で、「戦争という言葉を使わずに、特攻隊の決意を伝えている」などと説明した。

昨年は雨情生誕140周年に当たり、コンサートは記念事業の一環。実行委員会を組織し、水戸での演奏を皮切りに大洗港を出発する客船にっぽん丸を利用したツアーを企画。雨情と親交のあった歌人、石川啄木とのゆかりの地である北海道・小樽でも28日、記念コンサートを開く。

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